ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

成功ストーリー「ビリギャル」に食らわされた一撃。

私の無意識が早慶戦ポスターに刺激されたのか,映画公開さえ終わる時期にようやく「ビリギャル」を読みました。

読む前は「レベルの高い学校でギャルっぽくして一時学年ビリになっても,慶応に合格するくらいあるんじゃない?」と先入観で見ていたのですが,読了後は全然違う感想を抱くことになりました。

主人公さやかさんの母親の親世代まで家族の歴史を遡って描かれる母親の教育方針と,別の意味で教育熱心な父親とのすれ違い。

きょうだい内の葛藤もあって「ギャル」になったさやかさんを,当然ながらあたたかく受け止めてくれない学校の態勢。

勉強を積み重ねられていなかったことがリアルに窺える(笑)数々のエピソード。

そんなさやかさんを大きく変えるのが,塾の坪田先生との出会いだったわけです。

坪田先生は,もう天才的!

途中の章に書かれたさやかさんの受験指導にあたっての戦略もすごいのですが,それよりもさやかさんを勉強に向かわせ本気を継続させる手腕たるや,もう…。

こどもにとって,自分を正当に評価して可能性に気づいて伸ばしてくれるおとなと出会えることがどれほど大切かを思い知らされます。

そして母親もまた,さやかさんを心底信じて応援するおとなのひとり。

清々しいまでのがんばりを見せるさやかさんの姿に,自分が我が子にとってどんな親でいたいか,関わるこどもたちにとってどんな支援者でありたいかと考え,襟を正さずにはいられない…そんな小説でした。