ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

実行機能の基本3要素,「抑制」の持つ恐ろしさ。

実行機能のコアとなる3要素のひとつ,抑制についてもう少ししつこく続けます。

nao-chun.hatenablog.jp

抑制は3タイプに分けられるというところまで前回書きましたが,それぞれ以下のようなことを指します。

(a) 自分の行動のコントロール 習慣になってしまっている反応を覆して,自分を制御すること…たとえば,食べ過ぎたくなったり,熟考の末ではない衝動的な反応をしてしまいたくなる欲求に抗うこと。さらに,途中で課題を投げ出したくなる誘惑に逆らって鍛錬を積むことなども含まれます。

(b) 自分の注意のコントロール 注意力には,たくさんの情報から必要なところを選んで注意を向ける「選択的注意」と,重要なところへ注意を向け続ける「注意の集中」のふたつの大事な要素があります。

(c) 自分の感情のコントロール 不適切な振る舞いをしないように感情をコントロールすること…自主規制とも言えるかもしれません。

同じ市に同じ年に生まれた1000人のこどもを32年間追跡調査した研究では,3-11歳の時点で抑制が弱い子ほど,30年後に不健康で,所得が低く,幸福度も低く,犯罪をおかす割合も高かったというのです。この結果はIQや性別や社会的レベル,こども時代に育った家庭・家族環境等の影響を除いたものだといいます。

一方で,抑制コントロール力は年齢とともに直線的に上昇していくので,こどもの抑制力をほんの少しでも高めることができれば大きな改善につながるともいえそう。

やっぱり「抑制」には大注目,です!