ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

結局,こどもの実行機能を高めるために大事なことは? (1)

この記事からずっとこどもの実行機能の育ちを助けるのに役立つ方法をいろいろみてきましたが,

nao-chun.hatenablog.jp

共通して言えることをまとめていきたいと思います。

(a) もともと実行機能低い(ワーキングメモリが低い,ADHD男児,家庭の経済状況が悪い)子ほど,トレーニング実施によって大きく改善がみられる。

(b) 実行機能が改善したかどうかは,実行機能に高い負荷が掛かるような検査をしてみないとわからない。

(c) 同じプログラムを実施するなら,課題の難易度を上げ続けていかないと実行機能は伸びない。

(d) クラスの授業そのものや付加的な授業に関する研究の結果によると,4-5歳のこどもであっても,特に高価な装置を使ったりせず,(トレーニングやサポートは受けた)担任の先生によって実行機能を高めることができる。

nao-chun.hatenablog.jp

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そしてコンピュータを使ったトレーニングや格闘技による鍛錬は,就学前よりも8-12歳の児童に対して効果が大きい。

(e) コンピュータによるトレーニングによってワーキングメモリや推測力を改善することはできるが,抑制コントロールを改善できるというはっきりしたデータはまだ得られていない。コンピュータ以外の方法では選択的注意をみる課題(フランカー課題)や反応抑制をみる課題(Go/No-Go課題)で抑制コントロールの向上が報告されたものもあったが,満足感を先送りする(マシュマロテストのようなもの?)抑制効果が得られたという報告はどのトレーニングでも見られていない。

…まとめ,次に続きます。