ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

「さらば脳ブーム」って,どういうこと?

私の好きな川島隆太先生の著作を次々読むうち,普段の作風とは一風違った2010年出版の新書に出会いました。

Amazonの書評で賛否両論だったのが気になって手に取ったその本のタイトルは「さらば脳ブーム」

留学時のトラブルや脳トレ大ヒットの裏の数々の苦悩が赤裸々に綴られたこの本からは川島先生のお人柄が感じられて,私にとって先生の著書のなかでいちばんのお気に入りとなりました。

なかでも特に印象に残ったのがこのエピソード。

大学院生時代,川島青年は任天堂ファミコンゲームをとても楽しいと感じていて,「ファミコンをすると脳が強く活性化するということをデータで示せたら,任天堂から研究費がもらえるかも!」という野望を抱きます。

そこで,とても楽しい活動(ファミコンでゲーム)ととてもつまらない活動(内田クレペリンという,ひたすら1桁の足し算を繰り返す心理検査)をしているときの脳活動を比較してみる研究を組み立て,実際にデータ測定してみたら…,

あんなに楽しいファミコンゲームよりも,ものすごくつまらない1桁の足し算のほうがずっと大きな脳活動を起こしていたという意外すぎる結果が出たのだそうです。

この川島先生にとっては思惑のはずれた研究結果について,ある雑誌の取材で聞かれたときにぼそっと「ファミコンするより公文しろ,ってことですね」と答えたことが活字になり,その後のさまざまな展開につながることに…。

気になる方はぜひご一読を♪