ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

こどもの算数の力って,どうしたら伸びるの?

赤ちゃんは母国語をどうやって身につけるのかを知りたくて読んだ本にはたくさんの文献が紹介されていたのですが,あとがきにちょっと登場した研究結果がとても面白そうだったので英語論文を探して読んでみました。 「就学前のこどもの数学的知識:先生の『数学的トーク』の効果」

幼稚園など13施設26組の4歳児198人を対象に,こどもたちの数学能力(多い少ないの評価,文字と数字の判別,図形の名称判別など)を調査開始時と半年後に評価したという研究なのですが,それぞれの先生が授業中どのくらいの頻度で数学的な声掛け(「じゃあ,3人とも先生のお手伝いしてね」とか「おんなじ数で分けましょう」とか)をするのかも測定したというのです。

この調査の結果わかったことは次の3つでした。

  1. 4歳時点でこどもの数学的知識には大きな個人差があって,その差には社会経済的状況が影響していた
  2. 先生たちの数学的な声掛けの量にも大きな個人差(具体的には1時間に1回から104回まで!)があったが,先生の声掛けの量とこどもたちの社会経済的状況には相関はなかった
  3. こどもの数学的知識の伸びは先生たちの数学的な声掛けの量と相関があったが,社会経済的状況との相関はなかった

つまり,こどもたちは先生からたくさん数字や計算に関することばを掛けてもらうほど数学能力を伸ばすことができるということなんですね。

こんなところでもこどもの発達にはおとなの関わりが大きく影響するんだな…と感じさせられる論文でした。