ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもが自立できる教育って…?

先日書店で偶然見つけてそのタイトルに心を惹かれたので,岡田尊司先生のご著書「子どもが自立できる教育」を読みました。

岡田先生は大阪府でご開業の精神科医・児童精神科医

それなのに(いや,きっと「だからこそ」ですね)教育に強く関心を持って,教育に関する書籍まで著していらっしゃることに心から敬服してしまいます。

この本は日本のこどもたちはどうして自立できないのか?というところからスタートして,自立の前の段階=学校教育のありかたについて考えていく,という内容。

受験競争が厳しく,学校の定期試験や全国統一学力テストなども充実(?)し,学習塾に通ってまで勉強するこどもたちも多い日本に,なぜひきこもりや社会にうまく適応できない青年たちがたくさん存在してしまうのか。

それまで熱心に積み重ねてきたことがなぜ社会で通用しないという結果になってしまっているのか。

その謎を解くために,PISA(Programme for International Student Assessment)上位常連国や世界の先進国の教育事情と日本の教育事情が比較され,では日本の教育はどんなふうに方向転換していけばよいのか,というところまで提言されています。

日本の教育のありかたは,世界の中では決して一般的ではないということがとてもよくわかり,とても考えさせられる1冊でした。

じつはちょっと前のこと,職場でひきこもり傾向のある青年の親御さんたちと話をしていたとき,「発達障害が増えているという問題は日本だけで起きていることではないのに,どうして日本では発達障害の問題が大きく深刻化しているのか?」という話題になったことがありました。

日本の児童生徒は,制服を着て規定のカバンをもって登校し,みんなと同じように過ごすことが「よし」とされ,ちょっとはみだしたらいじめられたり集団からはじかれたりしがちである…,

とりあえず高校卒業・大学進学を目指すのがあたりまえみたいな風潮があって,それからリクルートスーツという名の似たような服装に身を包んで一斉に就活を始める…,

そんな「多数派としてみんなと同じに過ごす」ことが重視される日本の文化のなかでは,「少数派」である発達障害特性をもつこどもたち・若者たちはより生きづらさを感じるのかもしれませんね,みたいな流れになったのを思い出しました。

ダンスパフォーマンス集団WORLD ORDERも,典型的な日本のサラリーマンのイメージを表現しているわけですしね。

現在の中2生が大学受験をするときからセンター試験(旧・共通一次)のありかたが大きく変わると言われていますが,これからの日本の教育のあり方がどう変わっていくのか,少数派も個性派も自分の本当にやりたいことを目指しやすい世の中に少しずつシフトしていくのか,私も関心をもって見守りたいと思います。