ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

こどもに何かを教えるときいちばん大切なものは,○○○!

先日のこと,2016年最初の講演を某研修会のなかでさせていただきました。

といっても私は前座で,メインの講師は大阪で児童デイサービス「チットチャット・スポーツ塾」を運営していらっしゃる森嶋勉先生(ご著書はこちら)。

もりしー先生のお話を伺うのは2回目でしたが,

nao-chun.hatenablog.jp

今回も私自身がとてもワクワクする気持ちで聴かせていただきました。

もりしー先生は,発達障害特性をもつなど運動や身体の使い方の苦手さのあるこどもたちにも運動・スポーツを楽しんでもらいたいという思いでスポーツ塾を開いていらっしゃるのですが,その運動を通してこどもたちが人と関わる力やものごとを学んだり習得したりする力,世の中と折り合いをつける力なども育ててしまわれるのです。

身体を動かすことで心の発達も促す…私が「いいな」と思っていることをすでに現場でバリバリ実践中のもりしー先生のお話が,面白くないわけがありません。

いろいろな内容をお話いただくなかで今回とても私のこころに残ったことをひとつ書いてみます。

何らかの障害があって身体を思うように使えないこどもたちだって,もちろんスポーツを楽しんでいいはず。 だけど,その子の身体が一般的な「型」や「マニュアル」どおりの順序でステップアップしていくような学び方には向いていないことがある。 教えるほうがそのやりかたにこだわってしまうといつまでたっても次のステップへ進めないことになるし,教わるほうだってその学び方では劣等感を感じてしまうだけで当然スポーツを楽しむどころじゃない。

でもどんなスポーツにも,ここができたら「達成感」を得られるというポイントがある。 たとえば,水泳なら「浮く・前進する・息継ぎできる」を満たして対岸の壁まで泳ぎ切ること。 まずは「型」や「マニュアル」を一旦横に置いといて,「達成感」をこどもたちに感じさせることを最優先してスポーツ指導をすると,「達成感」を一度味わってしまったこどもたちは今度は自分からもっと上達したいと強く願い,自分の意思で練習を繰り返すようになる。 そのときが来て初めて「型」や「マニュアル」を使った指導を行えばいい,と。

これはスポーツに限った話ではないかもしれないな…とぼんやり思いながら,このお話を伺っていたのでした。

学校や習いごとの先生でも,もちろん親御さんだって,こどもが何かを教える場に関わるおとな全員がこの考え方を活かすことができたら,こどもたちの毎日をもっと楽しくポジティブなものに変えられるんじゃないのかな,と思ったのです。

…だって,こどもは常に新しいことを学んだり身につけたりしながら,一歩ずつ大人に近づいているんですもんね!