ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

こどもの行動…わがままなのか,発達障害だから仕方ないのか?

ちょっと前に診察室であるお母さんに尋ねられてから,ずっと気になっている質問がありました。

「この子のすること…わがままなのか,仕方ないことなのかがわからないんです」

そのお子さんは複数の発達障害特性を持っていて。 お母さんがこれまでがんばって子育てされる中でいろいろできることも増えてきています。 でも,お母さんが「これはこうしてくれたらいいのに…」「なんでこんなことするんだろう?」とモヤモヤ感じてしまうことが日々起こるというのです。

そんなとき「『こんなことしたらダメじゃない! そんなわがままは通りません!』ってつい怒ってしまうけど,でも怒りながら『これってこの子の障害を考えたら仕方ないことなのかな,私が我慢しないといけないのかな』とも思ったりして…」とお母さん。

そのときうまくお伝えできたかどうか自信がないのですが,私が考えたのはこんな感じのことでした。

お子さんのすることを「わがままだからダメ」「障害があるからOK」というふたつにはっきり分けるのは無理なんじゃないかな,ということ。

こどもが何故そうしたいのかこちらにわからないから「わがまま」だと思えても,こどもがそうするにはきっと理由があるし,それが社会に出たときに許容されることなら可能な範囲でそうさせてあげたらいいと私は思っています。…たとえば,特に外出の予定もなくて来客もない休みの日にパジャマのまま自宅のカーペットに寝転んでアニメを観るとか(架空の例です)。どうしてもパジャマのままなのがお母さん的に許せないのならお子さんと相談して,布団から出たらこれに着替えることにしようね,とリラックスできる部屋着を決めたりしてもいいかもしれません。

そして,障害があってもなくても社会に出たときにそれは許されないだろうということはちゃんと教えてあげないといけないと思うのです。たとえば人を殴らないとか,順番抜かしをしないとか,時間を守る(遅れるときは連絡を入れる)とか…ほかにもたくさん従うべきルールがありますよね。こどものうちには実行できないこともあると思うけれど,お子さんを怒るより「社会の中ではそうするのがあたりまえのことで,あなたにもできるようになってほしいと思っている」ことがこどもにちゃんと伝わるように教えてあげたらいいんじゃないかな,と思います。

世の中には「許されるわがまま」もあれば,「障害があっても許されないこと」もある。

そして,OKとNGの細かい線引きは所属する集団によって少しは変わってくるけれど,「この子の今してること,世の中的にはどうかな?」って親御さんが自分自身の価値判断をちょっと横に置いて客観的に見たり,自立する時点でのお子さんの姿をイメージしつつ今の目標を設定したりしてくださることがお子さんにはプラスに働くんじゃないのかな,と私は思っています。