料理界のパラダイムシフトに驚いた話。
高タンパク食を目指すうちに,おいしくて手間のかからないお肉料理のレパートリーを増やしたいと思うようになって。
料理に関する情報にいろいろ当たってみて,「強火をやめると,誰でも料理がうまくなる!」という水島弘史シェフの本を読んでみることにしました。
…今まで思っていた「料理の常識」とまったく違うんですけど!!!
たとえば,お肉を煮込む前に表面を強火で焼いてもうま味を閉じ込めるなんてできない,とか,
フライパンを熱しておいたり,オーブンを予熱しておいたりしてから調理するのではない,とか,
おいしい焼き上がりを見極める「80%ルール」がある,とか。
でも,こうした一見奇抜で眉唾な雰囲気さえ漂う新理論の背景にはひとつひとつ科学的な理屈があったのです。
あとがきには「料理は科学である」「調理科学」ということばも登場しますが,なぜこの温度なのか,なぜわざわざ油を掛けるのか,なぜこの塩加減なのか,といった理屈を知ると「あぁ,そう言われたら理に適ってるなぁ」と納得させられてしまいます。
この感覚,三石理論を読んでメガビタミンの必要性が腑に落ちたときとすごく似ているぞ…。
手始めに,下ごしらえの要らない鶏もも肉と野菜(何でもよかったんですが,なんとなくレンコン)を塩とクミンシードだけで味付けして,予熱なしのオーブンで30分弱焼いてみたら,本当に何の苦もなくおいしく焼けてビックリ!
お肉は柔らかいのに中までちゃんと火が通っていて。
冷蔵庫で保存したものを翌日お弁当にして職場のレンジで温めてみても,柔らかさがしっかり保たれていておいしい!
加熱の時間はかかるけど,キッチンに拘束される時間はすごく短い。
調理のタイミングをうまく見つければ,手間いらずで手軽においしいお肉料理が作れるかも♪,と私にはとても学びの多い1冊でした。
さて,この本のあとがき(文庫版)にはこんな一説がありました。
「…私は現在,料理教室を主に活動をしておりますが,9年前にはじめた当初は怪しい宗教と間違われていました。そんな教室も今ではスケジュール告知から2日で2カ月分の予約が満席になるまでになりました。…(2013年8月)」
怪しい宗教(笑)。
こんなに誰もがあたりまえに長年繰り返してきている料理の世界でも,これまでの常識が徐々に覆されていくことがあるのだなぁ…と妙に感心したのでした。
低温調理,いろいろとチャレンジしてみたいと思います。