ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(2) 感覚知覚,思考,気分,行動の機能不全:前置き

「Healing Children’s Attention & Behavior Disorders: Complementary Nutritional & Psychological Treatments」。

たまにはこの本のサマリー以外の投稿もしたくなってきましたが,ここにアップすることで読み続けられているのも事実。

今日から診断の章。治療を決めるベースになるだろうと思うので,またコツコツ進んでみます。

診断(2) 感覚知覚,思考,気分,行動の機能不全:前置き

・カール・メニンガー博士が用いた用語「精神状態」は,感覚知覚,思考,気分,行動という4つのカテゴリーに分けて記述可能である。

・感覚知覚は,外的・内的環境からの情報を受け取って脳で処理する過程。思考は,脳が情報を処理して情報の扱い方や情報への反応を決める過程。気分は,無気力から興奮・抑うつから多幸感の範囲での個人の感情を描写したもの。行動は,これら3つの結果であり,考えとして浮かんだり話すことや身体の動きといった身体活動として表出されるもの。

・コンピューター(計算機)と動物の脳を比べてみると,入力される数値が感覚知覚と,計算プログラムが遺伝情報や生まれてからの経験や周囲の環境によって形成されたもの(人生)と,プロセッサが脳と,出力される数値が行動と,それぞれ対応している。

・どこに機能不全があるかによって治療は変わってくる。一般的な脳の病気はどれも,感覚知覚・思考・気分のうちひとつ以上の主要な機能に変化が起き,大抵その結果行動の障害がみられることになる。

・紅茶,コーヒー,チョコレートなどのキサンチン系刺激物質や大量の砂糖などが最もよくある精神を変容させる薬物であり,幻覚剤LSD,メスカリン,マリファナ,そしてアドレナリンの代謝産物であるアドレノクロムやアドレノルチンなども脳に特有の変化を起こす。

・栄養欠乏はペラグラや統合失調症を引き起こしうるビタミンB3,B6,亜鉛などを含むが,同時に鉛やカドミウムなどのミネラルの過剰状態は子どもの精神状態の重篤な機能不全や障害の原因となりうる。


【ひとりごと】「脳が4区画に分かれているわけではないけれど,感覚知覚・思考・気分・行動に分けて,何が起きていてどこに異常が起きているかを考えるのは便利」と書かれていたのが印象的。ここからひとつずつ,まず感覚知覚から詳しく読んでいきたい。