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こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(3) 精製糖

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(3) 精製糖

 

ひとり読書会中のこの本。

 

今日は,白いお砂糖の話。
身近な食品ですが,あまり評判よろしくないようで…。

 

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(3) 精製糖

・週末はジャンクフードを食べてもいいから平日は断糖するよう勧めた家族の顛末…抵抗していた子も週末に暴力的になった同胞を見て「僕はもう二度と砂糖を口にしない!」と宣言した。

・全ての炭水化物は消化により単糖類に分解され,血中に吸収される。果糖は安全ではないが,ブドウ糖は極端な高濃度・低濃度にならなければ安全である。ブドウ糖が低濃度になりすぎた場合,脳も含めた細胞が飢餓状態になり,意識が薄れ昏睡に陥る。

ブドウ糖の吸収は,全粒小麦や玄米などのホールフード(自然食品)として摂取されれば,急速に吸収されることもなく他のビタミンやミネラルと一緒に摂取されるので問題ないが,一方で他の栄養素と分離された遊離糖は急速に吸収されて身体に膨大な負担が掛かる。

・自然食品は遊離糖をわずかしか含まない。熟した果実でさえ20% 以下しか含んでいない。化学物質の時代が来るまで,主な甘みははちみつだったが,サトウキビやサトウダイコンが砂糖の原料として発展したことが今どきの食事法へ向かう人たちの健康に大きなインパクトを与えた。

・糖分が多く繊維質が少ない加工食品はサッカリン病と呼ばれる状態を作る。甘い,炭水化物の多い飲み物が胃酸の分泌を促進し,でも消化すべきたんぱく質がないので胃潰瘍になる。高カロリーで炭水化物や脂質の多い食事と運動不足が重なると肥満やII型糖尿病の原因になる。この糖尿病は低血糖症の異型と言った方が正しい。精神科患者の3分の2,依存症患者の100%がこうした低血糖症に苦しんでいる。何百回も検査をしたが,5時間糖負荷試験が正常カーブを描いたアルコール依存の患者は診たことがない。

・砂糖が多すぎると,腸管内の酵母(真菌)の培地になる。砂糖と抗生物質が合わさると正常な腸内フローラが破壊されて酵母が過剰に増殖し,ピルを使用すると膣で真菌が過剰に増えて感染症の原因になる。化学療法やステロイド治療を行うと免疫防御が弱まる。真菌の過剰増殖と免疫低下が合わさると,多発性硬化症・ループスや筋委縮,リューマチ性関節炎,さまざまな消化器疾患などの自己免疫疾患の原因となる。

・砂糖の添加は子どもの健康に悪影響を及ぼすことは医学・科学の文献でも指摘されている。研究者たちは砂糖やその他の食品添加物ADHDの原因になると認めている。砂糖そのものの摂取よりも,砂糖をさまざまな添加物を一緒に含んだ加工食品のほうが病理性がおそらく高い。

・精製糖の摂り過ぎと反社会的行動の関連を直接調べた研究もある。犯罪が統計上容赦なく増えると政府やメディアはさまざまな背景要因を挙げるが,栄養については何も触れない。「不適切な行動パターンを示す人と出会うときは,ショ糖や添加物の摂り過ぎ,タンパク量の不足,ビタミンやミネラルの不足,よく食べる食品に対するアレルギーや不耐性,鉛やカドミウム,アルミニウムなどの重金属の影響はないかを考慮すべきだ」

・非行少年9人の食事を変化させ,多動の程度を調べた論文もある。子どもたちの中にある「悪魔」は食物アレルギーだった,と研究を行った医師が言う。凶悪犯罪者であるこの子どもたちはみな多動だった。良質な食事を摂っている間は何の犯行もみられなかった。3人がこの食事から脱落し,また仲間たちと犯罪に走る生活へ戻った。砂糖入り飲料とジャンクフードからフルーツジュースとナッツや新鮮な果物に食べものを変えたら,攻撃的行動は50%まで減少した。ハロウィンの翌日は子どもたちが落ち着かず収拾がつかないので,学校を休みになっている。

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【ひとりごと】 急速な糖の吸収はやはりよくないということがよくわかる章だった。そういえば10年以上前のこと,お子さんに砂糖を摂らせないことにとてもこだわっておられたお母さんとお会いしたことがあったなぁ…。今思えば,とても先進的なお母さんだったのに,当時は何となく聞き流してしまっていたことに反省。