ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(3) 有害な金属 / 害のない食品添加物やサプリメント

 火曜日恒例(?),ひとり読書会。

 長かった診断(3)も今回で最終回。
有害な金属と,害にならない添加物の話です。

 

【毒性のある金属】

・鉛,砒素,銅,ニッケル,水銀,カドミウム,そしてとりわけアルミニウムが食品添加物として使われる有毒金属である。

・これらの金属は呼気からも体内に入るが,特に鉛はガソリンに添加物として入っており,大気中の鉛濃度は3000年前の200倍。海の鉛量は10倍,北米の人は体内に100倍多く鉛を蓄積している。鉛は子どもたちの学習や行動の障害も引き起こしている。鉛は重く、大気中から地表に溜まるので、頭の位置が低い子どもの方が吸引して影響を受けやすい。

・鉛を取り除くには、キレーション(ペニシラミンによる)、亜鉛の補給が有効。

・診断は比較的簡単だが、鉛の影響を疑えるかどうかが鍵。血液検査より毛髪検査が有効。鉛の影響を除去するのに鉄も亜鉛も有効で、亜鉛は鉛の体内吸収を抑え、鉄は脳障害を低減する。

・鉛に安全域はなく,ゼロが最善。有害な金属の量そのものより栄養的に欠かせないミネラルとの比率が問題になるので,カルシウム・鉄・亜鉛・リンなどを欠乏させないことが大事。遅れのある子どもたちの毛髪検査では有害金属が多く栄養となるミネラルが少なかったという報告,暴力的犯罪者はそうでない人と比べて毛髪中のマンガンが多く,マンガン量は飲酒や栄養の足りない食事,心理社会的要因と相関があったという報告もある。

・少量のマンガンは身体に必要だが,多量だと知能の遅れや行動障害を主要因となる。マンガン濃度0.7ppmを超える割合は,囚人では62%,一般人では10.3%という報告もある。環境中にマンガンが多いかどうかも重要で,200の国のうち大気中マンガン濃度の高い13か国では凶悪犯罪が6倍も多いという。

・ヒトの母乳にはマンガンは少ないが,牛乳は3倍,豆乳ベースの人工乳は100倍のマンガンを含む。マンガンはモノアミンオキシダーゼの構成要素であり,脳内の抑制系神経伝達物質であるセロトニンの分解に関与する。牛乳や豆乳ベースのミルクを飲むことになった新生児は神経系が変化する恐れが大きい。

精油業者がオクタン(ガソリンの燃料の成分)ブースターである低コストのメチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニルをガソリンに添加できるよう政府の認可を求めているが,もし認められたら子供たちの健康がマンガンで害されることになるだろう。「子どもの脳は大人と違うし,子どもたちの日常の過ごし方も大人と違う。テトラエチル鉛がガソリンに添加されたとき半世紀にわたって影響が取り除けなかった。マンガンがなくてもエンジンは耐えられるが,われわれの子どもたちの脳はマンガンに耐えることはできない。」

・フッ素は身体だけでなく脳にも悪影響を及ぼす。ラットの研究では容量依存性に,胎児期のフッ素曝露で多動が,離乳期と成熟(3カ月)ラットは認知障害がみられた。ヒトでは骨粗鬆症のフッ素療法や虫歯予防のリン酸酸性フッ化ナトリウム溶液局所投与などで血漿中フッ素濃度が上昇する。

・重金属による害は目に見えないぶん,感染症よりも致命的である。親たちや子どものケアに関わる人は,有害な金属の外について,疑い,検査し,診断を受け,治療することで若い人たちを守るべきだ。


【害のない食品添加物サプリメント

・一部の添加物は有益で不可欠ですらある。甲状腺腫予防のため食卓塩に加えられたヨウ素,ペラグラ予防のため小麦粉に添加されたビタミンB群,解決用予防のためジュースに入っているビタミンCなどである。食品でなく,栄養素を錠剤などの形で摂る分子栄養療法を私は1951年から実践しており,知覚の安定化や知能の改善から気分の向上,行動の改善まで幅広くヒトの機能的側面をよい状態にしてくれることが明らかになっている。

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ひとりごと:ペニシラミンはキレート作用のある抗リウマチ剤。ビタミンB6への拮抗作用があるので,むやみに摂らず,慎重に容量を設定したりB6と併用したりする必要がありそう。
鉛はともかく,マンガンには肯定的イメージを持っていたし,フッ素についてはよくない話も聞きつつ歯科治療で口に入れるのも何となく受け入れてしまっていた。正しい知識を持つのは大切だと改めて感じる。
やっと分子栄養療法の話に辿りついた印象だが,治療の章までまだまだ道のりは遠い…地道に進んでいきたい。