ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

グサリと突き刺さる! 子どもが何かに上達するときに重要な、たったひとつのポイントとは?

今,読み進めているのは「幼児期と脳の発達」という本。

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たしか,からだ指導室「あんじん」の栗本啓司先生が読んでいらっしゃったことがきっかけで知りました。

既に絶版になってしまっているようですが,それでも図書館のおかげで読むことができるのはありがたいです。

一般向けの書籍のようだし,1983年刊行の本だからそう新しい内容もないだろうし,サラッと読めるかなと思いきや,平易な文章ながら中身はがっつり本格的。
脳や神経に関する専門用語や図解もどんどん登場します。

第1章「遊びこそ幼児の脳の発達の基本」は,幼児期の運動発達についての説明が中心。

赤ちゃんの大雑把な動きが力加減や方向などを精密にコントロールした「まとまった運動」になるためには,足腰の成長そのものというよりも大脳皮質が手足を協同して働かせるための指令をうまく出せるようになることが重要。

そのためには,幼児期の遊びは精巧につくられた見た目の魅力的なおもちゃよりも,生の素材を使って上手に遊べるようになるまで訓練が必要になるようなもの(石けり,お手玉,なわとび,こま回し)に熱中して粗雑な運動からだんだん上達して精密になっていくようなもののほうがよい,と説明されています。

…きっとけん玉も、ですね(笑)。

そして,大脳皮質が手足の動きをコントロールする経路は2種類あるということも丁寧に解説されていました。
大脳皮質から手足に直行して,とにかく運動をさせ続けようとする錐体路皮質脊髄路)と,外からの刺激や自分の体調の変化をモニターする「核」などを経由して運動にブレーキを掛けようとする錐体外路(皮質核路)があるおかげで,運動を頭と身体で覚えて,危険な失敗を回避しつつ快適な運動をすることが可能になる,というのです。
ある運動をするときに自信が持てるというのは、反復練習によって不安を伴うチャレンジをクリアできるくらいに皮質脊髄路が習得すれば、皮質核路が恐怖によるストップをかける必要がなくなる、というこのふたつの経路のほどよいはたらきがあればこそだ、と…とても腑に落ちました。

じゃあ、子どもには少し無理してでも早めにいろんな運動をさせて皮質脊髄路・皮質核路を発達させたほうがよいのか? という疑問にハッキリ「NO」と答えてくれているところがいちばん心に刺さりました。

「自分の興味と意志で自分から進んでやろうとしたことは、ある程度の個人差はあっても、うまくいきます。ところが、他人に強制されたものは、けっしてうまくいかないものです。」

…むむむ、耳が痛い!

幼児期の運動発達の問題に限らず、子育てする親のひとりとして常に胸に刻んでおきたい文章でした。

とにかく興味深い本なので、このまま読み進めたいと思います。