ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(1) 最適な食事…序文・ジャンクフードと砂糖抜き

またまた火曜日、ひとり読書会。
今日から、いざ治療の章へ!

序文

・他の精神科医の治療では幸せになれず、私のところへ来る家族が多い。まずは次のように説明する。「お子さんは病気で、学習や行動の問題が出ている。しかし診断にはたいして価値がない。薬物療法よりも適切な栄養やサプリメントによる治療を行うが、効果が出るまでは薬物療法も用いることがある」と。

・1960年から、親が子どもを病気にしたわけではない、と伝えるようになった。号泣する母親もいる。精神科ではなぜか親が子どもを病気にするという考えが浸透しているが、ビタミンB3やB6を欠乏させる以外にどうやって誰かが誰かを精神病にすることなどできるだろうか。

・治療プログラムに従った場合の予後についても伝える。特別な食事を行う理由、使う栄養の量や起こりうる問題・副作用、そして薬物の量や副作用についても説明する。このやりかただと治療者と家族が病気に対抗する同盟を結べる。これまでは家族に対抗する同盟を治療者と患者が結んでいるように思えるケースが多すぎた。

精神分析的・精神薬理学的な治療モデルよりもむしろ分子栄養医学的な治療の方が子どもの知覚・考え・気分・行動の障害を治すのには適切であると考える、分子栄養医学的治療は、まず栄養も含めた患者の現病歴を聞き、必要なら診断検査を行い、食事や栄養サプリメントの処方を行う。薬物療法は栄養処方が定着するまで補助的に使うこともある。

ジャンクフードと砂糖抜き

・まず、精製糖とジャンクな加工食品を子どもの食事から除くようアドバイスする。砂糖の入った食品や砂糖を含む加工食品はすべて除去する。こうすると脳アレルギーを起こしやすい着色料や香味料などの添加物も除くことができる。ほとんどの親が厳密にこのルールを守れないのは知っているが、90%以上実行できれば得るものは大きいだろう。

・砂糖はほとんどすべての加工食品に入っていて、その量も驚くほど多い。ケチャップの30%は砂糖だし、朝食用シリアルの50%以上が砂糖である。甘いものは強烈に愛されているので、砂糖は今日最大の依存性薬物である。加工食品に大量の砂糖が含まれている理由は

1.自然な味を失った面白味のない加工食品の味を砂糖がマスクしてくれる

2.砂糖には中毒性がある。2社が豆スープを販売した場合、砂糖の多い方がよく売れる。砂糖の価格が安い場合、製品に含まれる砂糖を豆の値段で売れば最終決算でも有利である。糖類は種類が多く、名前が「○○○―ス」で終わる食品添加物サッカロースラクトース、フルクトースなどすべて糖類である。食品会社がラベル表示のルールから逃れるため複数の糖類をミックスして使えば、加工食品の60%が糖類でも原材料の上位に糖を掲載させないこともできる。

・子どもの中には砂糖依存症になって、親の追跡にも屈しないケースもある。ある7歳の少年は台所に四つん這いで忍び込み、砂糖壺から手のひらいっぱいの砂糖を取って食べたという。こうした問題を防ぐため、私は「ジャンクフードサタデープログラム」を用いる。平日はジャンクフードを食べず、土曜日は食べたいだけ食べていいというルールを提案するのだ。どれほどジャンクフードがよくないものか自分で気づいてほしいから、という考えも伝える。5日間砂糖抜きの生活を送ると、土曜日のジャンクフードへの反応性が増強する。なんとか土曜日を過ごすうち、土曜日は多動傾向が強まるためなんとか自制しなければならず、それをとても嫌だと感じるようになる。ほとんどの子供が自ら進んで、ジャンクフードサタデーを中止する。

・食べてすぐに具合の悪くなるものを食べないためのいわゆる「嘔吐反射」は、哺乳類にとって自然な反射である。一度毒を食べて死ななかったラットは、二度とそれを食べない。不幸なことに依存性のあるドラッグは即時的な報酬をもたらし、悪い作用は後にならないと出てこない。依存症のヒトは、長期的苦痛を後に伴う短期的報酬を得ているのだ。薬物から離脱するには、長期的な利益のために短期的な苦痛を受け入れなければならない。子どもたちに砂糖がよくないと学習してもらうには、砂糖による短期的な苦痛を経験してもらう必要がある。

・子どもに食物アレルギーがある場合、わかっているアレルゲンの含まれる食べ物をやめるよう忠告する。どんな食べ物でもアレルギーは起こり得るが、大抵はよく食べるもの、例えば肉、ジャガイモ、パン、乳製品などである。最も多いのは砂糖依存症で、次に乳製品が続く。牛乳と砂糖のコンビネーションであるアイスクリームなどは多くの子どもたちにとって破滅的な食べ物だ。赤ちゃんのミルクも牛乳と砂糖を含む。

ひとりごと

砂糖(sugar)の訳は蔗糖と区別してもっと糖類全体なイメージを出したかったけど、どんな訳語がぴたっとくるのかわからないまま砂糖とした。
前の章でも少し登場した「ジャンクフードサタデープログラム」の考え方はいいなと思った。「自分でジャンクフードのデメリットや害に気づく」ことがモチベーションアップには必要だということなのだろう。