ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(1) 最適な食事…そのままの食品 対 加工食品(つづき)・バランスの取れた食事

火曜日恒例、ひとり読書会。
食べものについての考察は今回で終了(のはず)です。

そのままの食品 対 加工食品(つづき)

(そのままの食品)

  • 丸ごと全部の…獲物を捕食する動物は、ミネラル・ビタミン・その他すべてを消化する。肉食動物はまず獲物の内臓から食べる。植物について、たとえば小麦は胚・ふすま・そして白い胚乳からなる。小麦の外を覆うふすまはビタミンやミネラル豊富で、胚が最も栄養価が高いが、白い小麦をに碾くときふすまも胚も除去される。200年前にフランスの外科医が、全粒粉パンだけを食べたイヌは健康に生きたが、白いパンを与えられた犬はすぐ病死した。全粒粉はその植物のすべての栄養を含む。
  • 生きている…新鮮な、生きた(さっきまで生きていた)食材は傷む間がなく、ビタミンや酵素の量も失われない。生きた食材がないなら、超低温で凍らせるのがよい。貯蔵された食材の栄養価は元と比べるまでもないが、動物が貯蔵しておくナッツや種などは生きているが次の生命を生み出すチャンスを待って休眠しているだけだ。
  • 新鮮な…新鮮と生きているはほぼ同義だが違いはある。できたての全粒粉パンは長期保存したものより栄養に富む。保存しておくと栄養価を落としたり病気のもとになる微生物が混入する恐れがある。
  • 多種多様の…視線な食事は変化に富んでいる。私たちは雑食なので必要な栄養素をあらゆる食材から摂るのが最善だ。それにより毎日、また季節に応じて違うものを食べることでアレルギー発症もリスクも抑えられる。肉といっても筋肉だけでなく胸腺や肝臓、軟骨などもあるし、魚もイワシなど丸ごと食べるものもある。野菜も、葉や種・茎・根など様々な可食部を食べる。穀物も同じで、小麦からできる食品ではなく全粒を摂るべきだ。
  • 毒のない…自然な食べものは無害だ。私たちの祖先がはじめは試行錯誤しながら食べられる食材を選んできた。祖先は食品添加物や化学物質の心配をする必要はなかった。長期間保存してバクテリアや毒素に汚染されない限りは有害ではなかったから。
  • 倹しい…ハイテクな時代と比べて自然な食べものは少なかった。ヒトは食べものが豊富にあるときに脂肪を蓄え、飢餓のときその身体の蓄えを使った。現代では飢餓になることがないので、蓄えすぎたものを落とす機会がない。自然な素材丸ごとの食事では食べすぎになりにくい。嵩があり、長く噛む必要があって早く食べられない。できあいの食事は精製穀物や砂糖・脂肪・添加物で作られ、容易に食べ過ぎが起こる。摂食障害の患者が12個ドーナツを買って、家に帰りつくまでに食べ終えるというのも聞く。一晩に食パン1斤食べたり、数時間で450g入りの飴の箱を食べ尽くしたりもする。現代では食べものを手に入れるために大変な思いをして働くこともない。
  • 内因性(地産の)…以前は地元で採れたものを食べていたが、今は地球上のどこからでも食べものが届く。そのメリットは、地元より美味しいものが手に入ることだが、地元の食材はその地の気候に合った量の必須脂肪酸が含まれていて、凝固点の低い不飽和脂肪酸が豊富なことは寒い地域では特に重要なことだ。
  • 自然な味付け…自然な食べものには自然な味がある。私たちの祖先はが、新鮮ではない食べもののひどい味を隠すためにハーブで味をつけ始めた。新鮮なものなら塩や砂糖がなくてもおいしく食べられるが、塩も砂糖も食事の一部となってしまい使わずにいられなくなってしまっている。
  • シンプル…昔はシンプルな食事だったので、たとえばウサギ肉を食べて具合が悪くなった人はその後の食事でもウサギ肉に気を付ければよかった。しかし今は自分で調理しない限り、食べものに何が入っているかを知ることはできない。だからピーナッツアレルギーによる死亡が起こる(アナフィラキシー)のだ。安全だと思って食べたものに、調理段階でピーナッツオイルが使われていたりするためだ。加工されすぎた食品すべて、そのラベル表示でさえ慎重に考えるべきだ。

バランスの取れた食事

・歴史を戻ることはできないし、戻る必要もない。いずれは以前の食事と同じくらい安全で栄養があるとわかっているものしか販売・流通させてはいけないという公衆衛生法が作られることだろう。

・一方の端をそのままの食事(100)、もう一方の端を人工的な食事(0)というものさしを作り、私たちの食べものがそれぞれどのくらいの位置づけかを考えてみることもできるだろう。0だと最も病気によって生命が維持されず、100だと健康が適正に保てて生命も維持できる。

・「バランスの取れた」食事という言葉は、食事療法家や加工業者が自分たちの作る食事を正当化するために使う言葉なので好きではない。食事の90%がよいものであれば、残りの10%がよくないものでも大して問題にならない。でも75%の食事が悪いものなら、それは本当に問題である。そのままの食べものはもともとすでにバランスがよいのだ。動物界では単一の食べものがバランスのよい食べものである。アリクイはアリだけを、コアラはユーカリの葉だけを食べる。「バランス」という言葉はそのままの食べものだけ、自然で分子整合的な食べものを組み合わせたときに使うべき用語である。

ひとりごと

「バランスの取れた食事」という言葉、胡散くさいなぁと私も思っていたので、斬り捨ててもらって爽快な気分でした。
シンプルじゃない食事が増えて、何が入っているかわからないまま食べるからアナフィラキシーが起こりやすいというピーナッツオイルの指摘もとても納得がいきます。
筆者の言うような法律ができて、加工食品に法的な規制が掛かる日が来たらいいなと願ってしまいました。