円環的因果律の鎖を断ち切る話(前編)
円環的因果律を初めて知ったのは…
昨日、この本がAmazonから届きました。
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15年くらい前、普通の精神科医から子どもの精神科医の道へハンドルを切ったとき、「子どもを診るなら、話す相手は子どもひとりじゃないから、ご家族とも話せるように」と先輩から教えてもらった本が東豊先生の「セラピスト入門」と「セラピストの技法」でした。
私がその後システムズアプローチや円環的因果律を学ぶきっかけになったのは間違いありません。
面白くて魅力的で何度も読んだこの本の改訂版が出ると聞いたら、もう買わずにはいられませんでした。
早く読みたい!!
円環的因果律って?
ものすごーく簡単に言えば、
ある事象Aの原因がB(BだからAになった:妻がイライラしているから夫が酒を飲んだ)という「直線的因果律」に対して、Aの原因はBに見えるけれどBの原因をAだとも見ることができたり(夫が酒の飲みすぎをやめないせいで妻はイライラし、妻のイライラに反応して夫がさらに酒を飲み、…の、エンドレスループ)、
Aの原因はBに見え、Bの原因はCに見え、Cの…原因はA、のように3つ以上の事象の循環のように見ることができたり(夫の酒の飲みすぎに妻がイライラし、それを嫌だと感じる娘が遅く帰宅するようになり、食後の話し相手がいなくなった父親がさらに酒を飲み、…)するのが円環的因果律です。
どちらが・誰が悪いわけでもなく、ただ現象が順繰りに起きている。
…そんな感じでものごとを眺める視点と言えるかもしれません。
さて、なぜ円環的因果律の話をし始めたのかというと、まさに今、負のエンドレスループを抜け出しつつあるご家族とお会いしているから。
といっても、私が会ったことがあるのはお母さんおひとりだけなんですけどね。
エンドレスループの鎖をどこから断ち切るか?
あまり詳しいことは書けませんが多少脚色しながらご紹介すると、お子さんが不登校になっていることを夫(息子のお父さん)に言えず、息子とふたりで隠しながら過ごしていたお母さん(余談ですが、我が子の不登校のことを父親に言えない・言わない母親、結構な確率でいらっしゃいますね…)。
家事を回すだけでもつらいのに、ひとりで子どもの先を案じたりフォローしたりするのはしんどい、でも夫に言うときっと自分が責められるからそれもししたくないし…と悩んでおられたお母さんのいちばんの悩みは、なんといっても「疲労感」。
お母さんがご自分の食欲低下や昔からの貧血傾向を自覚しておられたこともあり、まずはお母さんが元気になるためにタンパク質をしっかり摂って鉄分も補ってみませんかとおすすめしたら、とても乗ってくださいました。
この時点でフェリチン值は40台。
この話、明日に続きます(リンク貼っておきますね)。