ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

診察室で学んだ、子どもを自立に導く子育てのコツとは?

お母さんと子育てを振り返る

最近、診察室に来てくださっているお母さんがこれまでの子育てを振り返って話をしてくださることが増えています。

長いひとは今の職場で10年ちょっとお会いしているので、初めて出会ったとき不登校だったりひきこもり状態だったりしたお子さんが、今は企業などでフルタイム就労されているといったケースも多くて。

途中でいろいろ大変なこともありましたよねぇ…とお子さんや私も一緒に思い出せるエピソードもあれば、受診されるずっと前のエピソードを「今だから笑って言えますけど…」とお母さんが初出ししてくださることもあります。

 

今は発達障害に関する情報が増えたけれど…

「小さい頃は本当に毎日が事件の連続で大変でした」と語られる、学校やご近所でのトラブルのあれやこれや。

そして、「小児科医に自閉症と言われて、でも障害だとわかったところでよくなる手立てもわからず、周りに相談できる人もいなくて。先の見通しが立たず、途方に暮れていました」という件まで、だいたいお母さんたちはほぼ同じことをおっしゃいます。

20年くらい前のことですから、それもそうかもしれませんね。今みたいに書籍やテレビやインターネットに発達障害に関する情報が溢れている時代ではなかったでしょうから。

不登校やひきこもり状態など、少し社会参加から遠ざかる時期もありながら、また安心できる範囲から人との関わりを再開して、たくさんの人やできごととの出会いを経て、職場で与えられた役割をきちんと果たせる大人になった…、

この道のりを改めて振り返ってみると、どのご家庭も親子で一緒に頑張ってこられたんだな…と、その時間の重みを感じずにはいられません。

 

どのご家庭にも共通している大事なこと

そんな振り返りの中で私がいちばん注目してしまうのは、お子さんに接するお母さんの姿勢。

きっとお母さんから見たらもどかしい、思ったようには育ってくれないお子さん達だったと思うのですが、お母さん達は期待もかけ過ぎず、投げ出しもせず、お子さんのそのままの状態を受け止めて向き合っていらっしゃったのだな…というのが伝わってくるのです。

うまく言えないのですが「ありのままの受容」でも「ありのままの否定」でもない姿勢。
お子さんのことを「今はこういう状態」と客観的に観察し、それは受け入れながらも、「今まだ不十分なところはどこか」「この子にとって次の課題は何か」も冷静に見極め、本人の状態や意欲に合わせて徐々に課題を克服するのを見守る感じ、といえば伝わるでしょうか。

お母さんの根気と忍耐が問われる関わり方。
でも、お母さん達は参考にできる前例や情報のない中で本能的にこんなふうにお子さんと関わってこられたんだと思います。

きっとどんな子育てにも役立つ親の心構えのはず。
果たして自分はこういう子育てができているだろうか…。

改めて反省してしまう今日この頃です。

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