ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

改めてのお礼、そして抗えない衝動の話(後編)

残存する原始反射は統合できる!

20000PV突破(改めてありがとうございます❤)の節目の自己開示。
出生時からの左腕の麻痺のために、たくさん原始反射を残したままだったことに気づいたところまで昨日書きました。

でも驚くことに、セミナーで学んだエクササイズ(どれも寝そべったり四つん這いの姿勢だったりでできる簡単な動きばかり)を地道に続けていたら、本当に原始反射が統合されて消失していくんです!

私がセミナーで教わってきたエクササイズは、スウェーデン精神科医 ハラルド・ブロムベリ先生が考案されたもの。セミナーへ学びに行くのがいちばんだと思いますが、どんなエクササイズか気になる方はこちらの本で見ていただくことができます(ブロムベリ先生の著書・英語です)。

The Rhythmic Movement Method: A Revolutionary Approach to Improved Health and Well-Being

The Rhythmic Movement Method: A Revolutionary Approach to Improved Health and Well-Being

日本語でわかりやすい原始反射の本はこちら。

人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長

人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長


原始反射が消えても残る苦手さとは

原始反射が消えたからといって、私の悩みの全てが解消したわけではありません。

左腕の運動能力が特段高まるということはないし、全体的に筋力も弱め。

そして、空間認知能力がとても弱いのです。
1年くらい前、KABC-2という心理検査を同僚心理士さんに実施してもらったら、犬(ポチ)を最短距離(等)で移動させる課題の成績がほんっとうにダントツで悪くて。

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(ポチ、久しぶり!)

このことについて、こちらの本には「数学推論の中でも幾何や予測は主に右脳で処理」と書かれていたので(第11章)、脊髄交叉を考えれば私の左半身の弱さや使われなさが右脳の発達に影響していても何の不思議もないな…とすごく納得がいきました。

薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方

薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方


身体と脳の発達の関係だけじゃなく

そんなふうに、赤ちゃんのときから身体をきちんと使うことの大切さを身をもって知り、後からでも変化させられることもあるとも実感した自分だからこそ、今発信できる・発信しなければならない情報がある、という信念を持つに至りました。

そして、その瞬間の標準医学というものの限界も身をもって体験しているから、標準医療に満足していられないという思いもずっと抱えています。

私に麻痺を残した分娩方法は、きっと当時としては標準的には正しいとされた判断。

完全な回復には至らなかった二度の手術だって、当時としては最先端の術式だったはず。

執刀してくださった某大学病院の整形外科の教授は上肢の専門家として有名な方だった(と後で知った)し、研修医の先生にも毎日ベッドサイドでとてもよくしていただいたし、当時の先生方を恨む気持ちなんてまったくなく、とても感謝しています。

でも、でも。
もしかしたら、当時もっと自分の身体に何かできることがあったかもしれないな、と今になって思うのです。
リハビリやトレーニングの方法、栄養の摂り方、ほかにもいろいろ。

手術から10数年後、私が医学部に合格してすぐのこと。母校となる大学病院の整形外科の教授に「今春入学します。この腕で将来医師としてやっていけますか?」と一度受診したことがありました。

「外科医にならなければ多分大丈夫。まぁ、今ならもっとよくなる手術もあるけどね

と言われたのも忘れられない記憶です。

そして、ヒトの中枢神経の少なくともある部位では日常的に細胞新生が起きていると論文発表されたのは、医学部在学中のことでした。
それまでは「ヒトの中枢神経細胞は一度死んだら二度と再生しない」と教科書にも書かれていたんです。
発表時期が在学中だったことは後で知ったわけですが、医学部で正しいと習っていたことがリアルタイムに覆されることとなった経験もなかなか貴重でした。

自分の分娩や手術をやり直すことはできないけれど、今の状態を改善できるかもしれないことならどんどん情報を取り入れて試してみたい。
もちろん非侵襲的で、法外な価格でなくて、自己責任で安全に挑戦できる範囲でのこと。

そして私と同じように、今の時点での医療の限界を感じて、新しい知見を積極的に試してみたい、もっといい状態を目指してみたいと思う患者さんがいらっしゃるなら、無理なく安全にチャレンジできるように応援したいと思っています。

もちろん、誰にでもチャレンジを強要するつもりなんてさらさらありません。
でも、新しい知識を聞きかじったら「こんな説も出てきてますよ」とお伝えしたいし、同じ思いで挑戦する人がいらっしゃればお互いの経験をシェアし合いたいし、うまくいったら喜び合いたいじゃないですか。

そんなわけで、医師らしからぬ「エビデンス検討中」な発信をこれからも続けていく予定です。

引き続き、ここのすラボ2.1をどうぞよろしくお願いします♪

ここまで2日にわたる長文にお付き合いくださりありがとうございました。