ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

憧れの先生のお話に、大いに反省する。

大好きな先生のお話の世界に浸る

昨日、お隣の県から私がとても尊敬する先生が講演に来てくださいました。
お話しくださった内容は、研究でも理論でもなく、どっぷり臨床のこと。

大ベテランの先生なのに、いつも本当に丁寧に患者さんと向き合っていらっしゃるのが伝わってくる先生のお話。
神田橋條治先生のような神業的な雰囲気(陪席したことはないので想像ですけど…)とはまた違う、でもあたたかくて人間味の溢れる雰囲気で患者さんとフラットな関係性を築いていらっしゃるのが目に浮かんでくるようで、そんな先生の臨床の姿勢が大好きなんです。1mmずつでいいから近づきたい…!!

発達障害特性を持つ人の入院エピソード

主に先生が聞かせてくださったのは、統合失調症のような状態で入院に至り、じっくり関わってみたら発達障害特性が露わになって、治療方針の方向転換が必要だった、という数例のケースについて。

患者さんたちが治療者の想定する入院治療の流れになかなか乗ってくれなくて苦労したけれど、その背景にはルールや治療方針に納得ができないという患者さんなりの思いがあって、それはこだわりの強さや変化への苦手さなど発達障害特性からきているようだった、と。
その思いに対して、治療者側の枠組みを押しつけて対決するのではなく、患者さんの枠組みに対して理解を示すことでその後の治療が進みやすくなった、という経験を教えてくださったのでした。

そして我が身を振り返る…

今自分の置かれている環境では入院治療をお受けすることはないのですが、外来治療でも似たようなことは当然起こりうるわけで、果たして私は「相手の枠組みへの理解を示す」ことがまずできているだろうかとしばし反省…。

外来には来てくださっていても、発達障害特性を持つ患者さんは子どもたちも青年たちも基本的には今しんどいことがあって受診して来られているにもかかわらず「今の状況を変えたくない」と思っていることが少なくなくて。

私としては、来ていただいた以上は変わってくれたらいいなとついつい(笑)思ってしまいます。
でも、それは「入院したからには治療を受けてよくなってほしい」という治療者側の枠組みと同じことなんですよね。

「変化することが得意じゃない」という特性や「できれば変わりたくない」という子どもたち・青年たちの思いにまずはしっかり理解を示して、それから「落としどころ」としての治療方針を一緒に定めていくという手順をもっと丁寧に踏むようにしたいな、と思ったのでした。

それは、たとえ栄養アプローチや身体アプローチをおすすめするときであっても同じ。
薬物療法を始めようって言ってるわけじゃないんだし」とか「絶対いい効果が現れるから」とかいう思いが先走って押しつけになってしまってはいけないな、と。
しっかり患者さんの枠組みを知って信頼関係を作るところから丁寧に関わりをスタートさせるようにしよう。そう心に決めました。

A先生、ステキなお話を聴かせてくださりありがとうございました♪

f:id:nao-chun:20191215182234p:plain