ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(2) 栄養の処方…ビタミンC(前半)

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日からビタミンCの話。
…長かったので、今日は前半のみ。

この本をコツコツ読み続けています。


ビタミンC(アスコルビン酸

ライナス・ポーリング教授が「ビタミンCと風邪」という初めての著書を出版するまでほとんどビタミンCのことは知られていなかった。そこからビタミンCは売れ始め,医療界では博士を老害だと貶したりビタミンCの効能は偽物だと糾弾したりと全力の阻止が始まった。ポーリング博士はノーベル生化学賞と平和賞を受賞しているが医師ではないので医療の問題に口を出すべきじゃないという批判が多かった。オーストラリアの医師はこの本の出版と腎結石の急増を関連づけようとした。この医師は本の出版以前から腎結石が増えているというデータには言及しなかった。私がこのことを反証として投稿した論文はリジェクトされた。

・それ以来、多くの医師や食事療法家や生化学の専門家などが平均的な食事にはビタミンは十分含まれているのでサプリメントは不要だと全力で説得するようになったが、ビタミンCをとると風邪をひきにくくなると気付くと大衆は非科学的な意見に説得されなくなった。医師たちが、メガビタミン領域にだんだん入ってくるにつれて風向きが変わり、ビタミンCに対する金切り声も治まっていった。需要が高まって供給が追いつかなくなり、ビタミンCの値段は1年で1キロあたり3.75ドルに上昇した。

・ヒトはみんな閾値下の壊血病を患っている。よい食事からでも一日100mg以上摂れないが、どのぐらいの量必要かは通常あるいはストレス状況下で動物がどのぐらいのビタミンCを合成するのかが参考になる。動物はグルコースからビタミンCを合成していて、ヒトと同程度の体重のヤギは毎日14gのビタミンCを合成しており、どの動物も体重当たりこれと同等のビタミンCを合成してるのは明らかだ。ヒトは2000年前にビタミンC合成能を失い、食生活が変化してから慢性欠乏状態である。合成のビタミンCならそれほど高価ではないので全員が十分な量を摂取すべきだ。壊血病ではないからと満足していてはいけない。

・ビタミンCは全身の健康のために誰もが必要だが、病気やストレスがある時は必要量が急激に増える。酸化型ビタミンCは通常は5%ほどしか存在しない。死が近づくとほとんどのビタミンCは酸化型になり、それ以外の病気では酸化型ビタミンCは減少する。病気から回復し始めると、酸化型ビタミンは速やかに減少する。ビタミンCは抗酸化作用を発揮するために還元型でなくてはならず、還元型の比率を高くするには、大量のビタミンCを摂るのが最善だ。

・実際、ビタミンCは主要な抗酸化剤だ。酸素による呼吸が重要だが、過度の酸化はフリーラジカルを生み出し、細胞や組織を傷害することがある。フリーラジカルは、別の分子から電子を引き抜き、新たにフリーラジカルを作る。この連鎖反応は電子が別のものと反応するか、抗酸化剤つまりスカベンジャーまたは酵素によって非活性化されるまで続く。生体には、皮を剥かれないジャガイモのように自ら酸化を防ぐシステムが備わっている。ビタミンCの他にもSOD、カタラーゼ、グルタチオン、ペルオキシダーゼ、ビタミンE、βカロテン、非酵素スカベンジャー、尿酸、グルタチオン、タンパク中のチオールなどが、抗酸化剤としてはたらく。

・これらの抗酸化剤は細胞内外両方ではたらき、互いの作用を補い合う。ビタミンCは水溶液ではたらき、Eは脂質や細胞膜上ではたらく。フリーラジカルはがん、加齢、パーキンソン病、心血管障害、白内障、関節炎、糖尿病などさまざまな病気に関与しているので抗酸化反応によるコントロールはこれらに治療的に作用する。

・ビタミンCは、アドレナリンがアドレノクロムに酸化されるのは大して防ぐのを大して防がないが、アドレノクロムにCを混ぜると赤色が黄色に変化し、アドレノルチンとロイコアドレノクロムを含む黄色い液体になる。アドレノルチンはアドレノクロムほど毒性は持たない催幻覚物質で、血液検査で測定可能。ロイコアドレノクロムは血液検査では測れないが、降圧作用と抗うつ作用を持つ。Cはアドレノクロムの半分を無毒化するのだ。(つづく)

ひとりごと

ビタミンCの章は長かったので、中間で一旦切ります。今回は、抗酸化作用はホント大事だなとしみじみ感じるセクションでした。
ヒトと同程度の体重のヤギが1日14gのビタミンCを体内で合成しているのなら、ストレスの多い現代社会に生きるヒトは14gどころじゃなく摂取しないと足りないのかも?!