ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

謎を解く鍵は、お母さんの子ども時代にある?!

お母さんの子ども時代のお話を聞くこと

お子さんの診療が一段落すると、ふとしたときにお母さんがご自分の子ども時代のことを話してくださることがちょくちょくあります。

お母さんご自身が自分の子育てを振り返るときに自分の育てられ体験も振り返られるのかも知れませんし、診療も終盤に差し掛かると、たとえば不登校だったお子さん本人は予約日にも学校に行くなどしてお母さんだけが受診されることも多いので、お母さんと私の1対1になって話をしやすくなるのかも知れません。

この時間は結構大切なのかも…

子育てで何かうまくいかないことが発生すると、お母さんはまずお子さんの状態を心配して、お子さんを受診させてくださっているわけで、お母さんが同席はされても診療の主役(?)はお子さん。

お子さんと私の話を聞きながら、きっとモヤモヤされているお母さんもいらっしゃると思うのです。

「そんなに子ども本人に共感ばっかりしてたら、この子が調子に乗るじゃないの!!」
とか、
「あらこの子、先生の前では調子いいこと言っちゃって」
とか。
(すべて私の妄想ですが…。)

そしてきっと、「私だって子どもの頃いろいろ大変だったのに、この子みたいに誰かに話を聞いてもらったことなんてなかった」という、ちょっと羨ましさみたいな感情を抱くお母さんもいらっしゃるんじゃないのかな…と想像したりもします。
(これも私の妄想ですね。)

そこまでではなくても、お子さんがあれこれ語るのをそばで聞くうちにご自分の子ども時代のことがありありと思い出される、みたいなことはきっとあるだろうなと思うのです。

自分の子ども時代のことを喋ってみたくなられたのなら我慢せずに喋っていただいた方がいいと思っていますし、その相手として私を選んでいただけるのならそれはまた光栄なことです。

聴ける私もじつは嬉しい

お母さんが話してくださることの多くは、ご自分の親やきょうだいとの関係のこと。

小さい時から鍵っ子だった、お父さんがカミナリ親父だった、何かと兄や姉と比較されていた…などなど、内容はさまざまです。

ご自分の子ども時代の経験をわが子との関わりに上手に活かしていらっしゃるお母さんもたくさんいらっしゃって、「ああ、だからあの場面でお母さんはお子さんにこんなふうに接しておられたんだな」と私のなかで腑に落ちたり、「お母さんがあのとき心配しておられたのは、お子さんにはご自分と同じつらい思いをさせたくないというお気持ちだったんだな」とつながったり、後から気づくことがたくさんあるんです。

お母さんご自身の子ども時代の経験を通してお子さんとお母さんとの関係をよりスッキリ理解することができるし、大変なできごとを乗り越えてきた子ども時代のお母さんのことも今お子さんが苦難を乗り越えるのをアシストされたお母さんのことも労って一緒に喜ぶことができるので、私はお母さんの子供時代のお話をお聴きする時間がのが実はすごく好きだったりします。

そんなわけで、お母さんとのお話がついつい長くなってしまうのですが、それが許される今の職場環境をありがたいなぁと思っています。

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