ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

保護者面談について、モヤモヤしてしまったのはなぜ?

冬休み前の定番行事といえば

冬休み前の保護者面談が行われるこの時期。
進路相談に真剣な受験生の学年もあれば(たぶん3者面談ですね)、通常どおりの面談という親御さんもいらっしゃるはず。

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診察室でもいろいろ報告を聞かせていただいています。

保護者面談は担任との数少ない接点なので、楽しみだったり緊張したり、それぞれの時間を過ごされたようです。

モヤモヤする面談のご報告

そんな中、小学生男子のお母さんが「担任の先生からこんなお話があって、ちょっと落ち込んだ」と話してくださいました。

「息子さん本人の学習に関しては、問題を解かせてもサッと終わらせているし問題ない。
でも、まわりの子に教えるでもなく、みんなが終わるまでふわふわ時間を過ごしているのがもったいない。
もっと自分の成長のためやまわりの子のために時間を使えたらいいのに。」

基本的にこのお子さんのできているところやよいところに注目してもらうようなことはほとんどないまま面談は終了したとのこと。

「こんなことを言われたことが今までの学年ではなかったので、学校での態度がすごく悪いのではないかと心配になってしまって」とお母さん。

ううむ…。
お母さんのお話を聴きながら、私も歯がゆい気持ちになってきました。

なぜモヤモヤしたのだろう?

実際のお子さんの学校での様子を見たわけではないので正確なところはわかりませんが、おそらく学校で特に問題を起こしているわけでもないお子さんについて、保護者面談でほとんどよいところを指摘してもらえないで終了した(と少なくともお母さんは感じておられる)時点でちょっとモヤモヤするのは私だけでしょうか。

担任と保護者の数少ない接触の機会に「私は担任としてお宅のお子さんをこんなふうに認めていますよ、お子さんこんなことをはがんばっていますよ」と伝えたほうが、保護者との信頼関係が築きやすいだろうに…。というか、このチャンスにそれをしないなんてもったいなさすぎるのでは? と思ってしまいます。

それは、たとえ問題とされる行動を起こしているお子さんの場合でも同じこと。
こういうところはまだ取り組むべき問題として残っているけれど、こんなところは素晴らしいんです、と伝えてこそ「先生はうちの子のことをしっかり見てくださってるな」と親御さんに伝わるし、取り組むべき課題として報告されたことも親御さんとしては重みをもって受け止めやすくなるはずです。

それから、この先生が目標として挙げていらっしゃる「自分の課題が済んだら他の子に教えてあげること」は本当に目指さないといけない目標なのかな、とちょっぴり疑問に感じました。
担任がおっしゃるとおり、それができたらとっても理想的かもしれないけれど、保護者面談でお母さんにダメ出しするほどのことなのかな、と。
たぶん、他のことでこのお子さんがとっても認められていて、「次に目指すとしたらこの点」という文脈で目標として掲げられるのであれば違和感がなかったかもね…とお母さんと気持ちを分かち合いました。

そのとき私が思い出したのは、けテぶれ学習法の葛原祥太先生のブログ。

「けテぶれ」宿題革命!

「けテぶれ」宿題革命!

子どもたちと一緒に「よりよく生きる」ことについて、目に見えない価値の基準を可視化して子どもたちと共有する作業を担任の先生がしてくださったら、このお子さんにも伝わりやすかったのかも…と思います。

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さて、我が身を振り返って。
わが子に対しても、診察室でお会いする子どもたちに対しても、よりよい状態を目指してほしい気持ちはあっても「それができないとダメ」とこちらから押し付ける形になってはうまく伝わらないのだろうな、と反省させられました。
できていることをしっかり認めて一緒にこれまでのがんばりを喜び合ってから、次に目指すべき目標として提示する…そんな伝え方をできるようになろうと心に決めました。