ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(2) 栄養の処方…必須脂肪酸(後半)

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日は必須脂肪酸の話の後半、今回で必須脂肪酸の章は終了です。

読んでいるのはこちらの本。

必須脂肪酸(後半)

・ω6脂肪酸は食事で不足することは少ないが、オレイン酸を最初の代謝産物であるリノレン酸へと変換するのが難しい。そこでリノレン酸の豊富な月見草オイルやルリジサのオイルが重要な役割を果たすことになる。月見草オイルは経口摂取でもよいが、皮膚に塗りこむこともでき、カプセルの飲めない子どもにはとても有効。量は1日3-6カプセルで、多動児の治療に有効だ。6歳のスティーブンくんがありえない行動のために学校から除籍されそうだったとき、3カプセルの月見草オイルを朝晩皮膚に塗りこんだ。5日後、彼は明らかに変化した。3週間経ってオイル塗布をやめたらまたありえない行動が再開したという。25人の子どもたちに同じ治療を行ったところ、半数に反応がみられた。これらの結果は「ω6必須脂肪酸:病態生理と臨床医学における役割」という書籍にブラックバーン氏が掲載している。

・ω3必須脂肪酸は魚油や亜麻仁油に含まれている。亜麻仁から採れるリンシードオイルがよい供給源だ。リンシードオイルは人気がありよく使われる油で、大半は健康食品店に置かれている。ω3がとても豊富で、60%近く含有されている。テーブルスプーン1-4杯を毎日摂取する。地物の亜麻仁油を食事に使うこともできるが、冷たいままにしないとすぐ油が悪くなる。朝食のシリアルやその他どんな食事にも加えればよい。一般的なサラダ油にはω6は豊富だがω3は不足している。ω3は化学的にω6より反応性が高く、融点が低く(室温で液体になりやすい)、寒い気候の地域で育つ植物が凍るのを防いでいる。ω3脂肪酸は大豆油や胡桃油、胚芽油、魚介類に含まれている。

・だが、正しい油を得るのは簡単ではない。フィネガン氏は「脂肪の真実」の中で商用の脂肪の準備に関する問題を挙げている。この必要不可欠な栄養素をうまく安全に使うには、その化学的性質や油がどのように作られているかを知らなくてはならない。非常に不安定で、二重結合は酸素を欲している。だからリンシードオイルは絵の具の基材に用いられるのだ。同じ理由で、油はいったん抽出されると長く保管できない。劣化つまり酸化するとき、価値のない、有害な物質へと変化する。生産者たちは熱をかけないコールドプレス法でこうした劣化を防ごうとしてきた。熱は酸化や劣化を促進する。しかしコールドプレス法でも、熱を発散させるように非常にゆっくり圧搾しないと大量の熱が発生してしまう。つまりコールドプレス法のオイルは熱処理されたオイルと比べてほんの少しマシな程度ということだ。しかし、非常に劣化の少ないオイルを生産している生産者も少しはいて、オイルは瓶を開封するまで窒素充填で保管されている。

・高品質のオイルは、圧搾法で、光と酸素のない環境で華氏118.3度(摂氏48.0度)以下で生産され、傷まないよう遮光容器で保管されねばならないとフィネガン氏は言う。またオイルはオーガニックの認定を受けた種から育てて第三者が生産したものがよいと推奨している。

ひとりごと

ω3脂肪酸が酸化しやすいから加熱調理には向かないとは聞いたことがあったけれど、油を作る工程で熱をかけることがあるとはノーマークでした。
意識して作ってくださっている生産者さんの製品を使わないと意味がないということですね!