驚き! 20年来の思考停止が解けたことに気づく。
薬が心に効くとして…
医学部に進学する前から精神科医になりたいと思っていたのは、「ひとの心の状態が薬で変わるなんて不思議…」と惹かれたからでした。
その頃は薬のメカニズムなんて全然知らなくて。
いざ精神科医になって抗うつ薬の作用機序を学ぶことになり、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の説明を聞いて、頭の中が「???」 でいっぱいになりました。
シナプス間のセロトニン量を増やすはたらきがあるのはわかった。
でも、もともとセロトニンの少ない人は再取り込みを阻害したって少なくない?
セロトニンを薬として飲んじゃダメなのかな…と。
セロトニンは抗うつ薬の代わりにはならない
たぶんこのとき、誰かにこの疑問をぶつけたのだと思います。
どなたにお聞きしたのかは忘れてしまったのですが、その答えが「セロトニンはBBB(脳血液関門)を通過できないサイズだから無理」だったことは覚えています。
あー、そうなのかぁ。(終了)
当時の私はここで思考停止してしまっていました。
今思えば愚かなことです。
あれから20年近く経って、EAAのなかにセロトニンの原料となるトリプトファンが足りないと眠れなくなるのを体験したり、
ビタミンB3を摂る効果のひとつに、B3を充足させることでトリプトファンがB3を増やすために消費されてしまってセロトニンになりそびれるのを防ぐ!というものがあると知ったりすることで、
体内のトリプトファンを増やすことがやっぱりセロトニンを増やしてうつや不安を和らげてくれるらしいと知ることになるとは、あの頃は予想もしていませんでした。
そんなことを考えながら…
なぜこんな考えが浮かんできたかといえば、快適長寿学に「ビタミンと薬の違い」という章があったから。
- 作者:ライナス ポーリング
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1987/01
- メディア: 単行本
本の中では、薬の中でも安全性の高いアスピリンについて、その作用機序や安全性などじっくり(ねちねち?)検討されているのですが、「ビタミンCが十分あればアスピリンは不要ではないか」と書かれていました。
すべてのお薬が不要とまでは思わないのですが、トリプトファンやビタミンB3やビタミンCのように自然界に存在する栄養素にお薬の代わりにはたらいてもらうことができる場面はほかにもいろいろあるんじゃないのかな…とつい考えてしまいますね。