ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

卒業前に立ちはだかる、思わぬ強敵とは?

1月は行く、2月は逃げる、3月は…

2020年に入り、あっという間に1月も最終週になってしまいました。

1月は行く、2月は逃げる、3月は去る、とよく言いますが、本当に月日が経つのは早い!

そして、卒業年度の子どもたちは、3月の卒業に向けて学校でもいろいろ準備を進めている時期だと思います。

 

卒業文集に載せる作文

さて、今日はあるお子さんから聞いた、卒業文集の話。

文集のための作文を書くのかとても苦痛だと打ち明けてくれました。

「小学校の思い出」か「将来の夢」を書くのがお題だそうなのですが、何がそんなに苦痛なのかとあれこれ尋ねていたら、少しずつその子のしんどさが見えてきました。

 

まず、作文を書くにあたって「お手本」となる文例がみんなに配られたそう。
これがなんと、鈴木一朗くん(後のイチロー選手)と本田圭佑くんが子どもの頃に書いた作文!
ふたりとも、小学生の時点で夢に向かってまっしぐらなわけで、当然作文も日本や世界を視野に入れたキラキラして野心的な内容とのこと。

 

…それをお手本に書けと言われても、フツーは無理じゃない? と聞いてる大人の私もついつい共感。

 

お手本に限らず、担任の先生の「こういう作文を書いてほしい」というプレッシャーがクラスに充満しているのがとても苦しいと言います。

 

「将来の夢は書きづらいから、小学校の思い出で修学旅行のこと書こうと思ったんだけど、いちばん楽しかったのは友だちとホテルの部屋で夜トランプしたりおしゃべりしたりしたことなんだよね。でも、そんなこと書いたら『あなたは遊ぶために修学旅行に行ったのですか?』とか先生に怒られそう」

 

と、まだ先生に作文を見せたわけでもないのに予測して躊躇してしまうようです。

 

子どもたちも先生の空気を読んで、他の子の作文を覗き込んでは「えー、そんなこと書いたら恥ずかしいんじゃないん?」「お前のほうがダサいじゃんか」とお互いけなし合うような流れができているのだ、と…。

それはなかなかつらそうです。

 

思わず自分の卒業文集を引っ張り出す

こんな話を聞いた晩、帰宅して私の学校の卒業文集を引っ張り出してひとしきり読みふけりました。

 

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…あれ?みんなキラキラもギラギラもしてないぞ?

 

今とは時代が違うと言われたらそれまでですが、中身も文体もふわふわしていて時にはおふざけすら混じった、子どもらしい文章が並んでいました。

でも、この等身大の素朴さがいいんじゃないのかなぁ…と私は思います。

 

もしかしたら卒業に向けた作文と苦闘している最終学年の子どもたちは全国にたくさんいるのかもしれません。

周囲の大人の期待とほどよく折り合いをつけて、自分らしい作文が残せるよう、祈っています♪