ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(2) 栄養の処方…ミネラル(前半)

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日はミネラルの話。

こちらの本を読んでいます。

ミネラル(総論)

・身体はミネラルを必要としている。カルシウムやマグネシウムのように大量に必要なものもあれば、セレンのように微量でよいものもある。海水中に含まれるミネラルはすべて必要だろう。化学者たちが物質や水溶液から不純物を除くのに苦労するように、生物も毒性物質を除去するのに苦心する。ミネラルには適正必要量があって、多いものはg単位、少ないものはμg単位である。ビタミンよりも適正範囲が狭く、多すぎても少なすぎても有害だ。幸い食物中に含まれるミネラルは少ないが、空気や水、土壌の汚染物質からも吸収してしまう。

・微量元素は食事のごく一部分を占めるのみだが、不可欠なものだ。食事は適切で微量元素不足は起こらないという信念のため、微量元素は行動科学者や医師たちに無視されてきた。ヒトよりもよい食事を摂っている家畜たちに広く微量元素不足がみられるのだから、ヒトのほうがよい状況であるはずがない。食品を洗ったり調理したりするとミネラルは失われる。薬のキレート効果でも失われる。金属イオンと結合して体外へ排出してしまう。「微量元素とヒト」という本の中で、シュレーダー氏は服薬中に膠原病や肝障害、血液疾患などを発症させている患者数を心配している。これはジギタリスモルヒネ、ホルモン、ビタミン、植物抽出物で治療している人には通常起こらない。こうした病気は微量元素不足から起きていると彼は考えている。

・ミネラルの毒性はμg単位で生じるものから多量摂取しないとみられないものまである。毒性元素は体内での生物学的機能が知られておらず、身体がまったく必要としていないものである。カドミウム、鉛、アンチモン、水銀、ヒ素、アルミニウムなどごある。少量は必要だが大量だと毒性があるものは、セレン、ゲルマニウム、錫、フッ素、クロム、銅などである。

カルシウムとリン酸

・ヒトの骨は体内のカルシウムの99%と80%のリンを保持し、他の部位にある少量が生命にかかわる。カルシウムは神経・筋肉の興奮を抑え、神経電動インパルスを正常化する。リンはヌクレオチドのような酵素の高エネルギーなリン酸結合のカギとなる物質である。食べたものの内容や胃腸の酸性度、カルシウムとリンの比、鉄や鉛マンガンなど不溶性リン酸塩を作る混合物の存在などによって、消化管吸収の量が変わってくる。フィチン酸イノシトール6リン酸)はカルシウムやマグネシウムと結合して吸収を阻害する。乳酸や高たんぱく食は吸収を促進する。ビタミンD3は正常な吸収に不可欠で、フィチン酸のはたらきと拮抗する。カルシウムの血漿中濃度は8.5-11.5㎎/100mL、リンは3-3.5㎎/100mLだ。骨の代謝にはビタミンA、D3、Cがすべて欠かせない。

・成人ではカルシウムもリンも毎日1-1.5g必要とする。妊娠中・育児中の母親は要求量が1.5gまで増える。アレルギーがなければ牛乳や乳製品はよい供給源となる。高たんぱく食などでリンが増えすぎると、骨のカルシウムを保持できなくなり、これが骨粗鬆症の主要因となる。


ひとりごと

ミネラルはビタミン類と違って適正用量域が狭い範囲に限定されていること、そしてそもそも人体にとって害にしかならないミネラルもあることなどが興味深かったです。カルシウムは摂りすぎると骨が溶けると聞いたことがありましたが、カルシウムとリンの関係ではバランスが大切なんですね。