バッドニュース報告を聴きながら思うこととは?
親御さんが一足先に診察室に入るとき
ときどきあるのですが、いつもはお子さん本人と一緒に診察室に入ってこられる親御さんが、「今日は私だけちょっと先にいいですか?」とおひとりで話す時間を希望されることがあります。
ご本人がOKなら、そういう時間を作ることにしているのですが、大抵この時間に話される内容はお子さんに関するバッドニュース報告。
その内容をお子さん本人が知っていることもあるし知らないこともありますが、「あ、きっとバッドニュースだな」と私はこっそりハラを括ります。
最近のバッドニュース
ちょっと前にお聞きしたのは、お子さんの小学校のプリント課題に関する心配。
授業中に習ったテーマについて自分の考えや学んだ感想を書く形式のプリントのすべての記述欄に「何わからない」と書いで提出したというのです。
どうしてこんなに反抗的なのか?
何故こんな不真面目で失礼なことをするのか?
…と私に言いたくてたまらなかったお母さん。
決して勉強が苦手な子じゃないし、彼にとっては書こうと思えば書けない課題じゃなかったはず。
それはお母さんも同じお考えでしたし、だからこそお子さんがわざと手を抜いたことに腹が立って仕方がなかったのでしょう。
でも。
きっとそのとき、そんなふうに書かずにいられなかった理由が何かあったんじゃないのかな…と私は思ってしまうのです。
「子ども性善説」を信じてる!
先生に対する反抗的態度、なのかもしれない。
でも、そうじゃないかもしれない。
たとえば自分が書きかけた文章にまわりの子が何かイヤな言葉を掛けてきたとか、
たとえばはやく給食当番の仕事を始めないといけないのに延長した4時間目の課題だったとか、
たとえば授業内のグループディスカッションで自分の意見がうまく友達に伝わらなかったとか、
たとえば前の晩の弟とのケンカを引きずっていたとか。
私が信じているのは「子ども性善説」。
わざと大人を怒らせるようなことをしたい子どもなんていないと思うのです。
でも、何か理由があって、自分の不快な気分をうまくコントロールしきれなくなることは子どもなら起きても仕方がない(ええと、大人なはずの私でもコントロールできないことありますからね…偉そうに言えたガラじゃございません)。
だから、こういう場面に遭遇したら「どうしてこのとき、こんなふうに書きたくなっちゃったのかな…?」って聞いてあげたくなるんです。
本来のあなたがこんなことをしたくてするわけがない、絶対に何か事情があったよね? というスタンスで尋ねられたら、子どもだって「じつはあのときこんなことがあってね…」って素直に言えたり、「でもちょっと大人げなかったかな…」と自分で振り返れたりしやすいんじゃないのかな、と。
子どもの行動にショックを受けても、「なんでこんなことするの!!」と感情をぶつける前に、一旦停止して「子ども性善説、子ども性善説」のことを思い出すことが習慣にできたらいいな、と思っています。
…まずは私が、ですね(笑)。
(それにしても、孟子までラインナップされているとは…さすがいらすとやさん♪)