ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

「処方薬、やめようと思っています」

県外で自立している青年

ひょんなことから、社会人の患者さんと「お薬をやめること」について話しあいができました。

彼と出会ったときは、いわゆる「ひきこもり」状態で。
でも、どんどん力をつけて、大学へ進んで国家資格をとり、県外で働き始めてもう数年経ちます。

会える頻度は以前より少なくなりましたが、ひとり暮らしもそつなくこなし、職場でも元気に活躍しているよう。
地元を離れる前からとても弱い抗不安薬を少しだけ使い続けていて、その後も定期的な処方は細々と続けていました。
私の外来で処方薬をお出ししている人はかなり少ないので、ちょっとレアなケースです。

最近薬が効きすぎる!?

数ヶ月前のこと、「いつも寝る前に薬を1錠飲んでいるけど、前と比べて薬が残っているというか、朝起きにくくなった気がします。もっと弱くできますか?」と自分から言ってくれて、一段階弱めの薬に変えました。

しっかり寝て元気に目覚めてお仕事に行ってほしいのに、朝も眠気やダルさが残っているようじゃもったいないですもんね。

今日は薬を弱くしてからの調子について少し詳しく教えてもらいました。

「やめたいと思ってます」

今の処方でも夜はしっかり眠れ、朝に残る感じはなくなったよう。

毎日めいっぱい仕事して疲れているだろうし、就寝前の薬がなくても眠れるのでは…? と尋ねてみたら、

「多分なくてももう眠れると思うけど、飲むのが習慣になってるから、飲まずに寝る自分が想像できないです」と。

ううむ、それもそうか…。
処方薬へ依存させてしまっていたら申し訳ないなぁ、と思っていたら、

「でも、いつかはやめたいと思ってました。…薬って半分に割って飲んでみてもいいんですか? 段階的に減らしたいな、と」

と提案してくれるではないですか!

以前は本当に(本来の能力と比べて)自信がなくて遠慮がちな人だったのに、自分から積極的に力強く意見を言ってくれるようになっているのがとても嬉しくて。

近くにいてこまめに来てもらえる状態なら分子栄養医学の話なんかもいろいろできるのですが、限られた機会に限られた時間で話せることは少なくて残念。

でも、処方薬漸減計画が立ったので、服薬ゼロに向けてゆっくり進んでもらえたらと思っています。

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