ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(3):ビタミンと薬物療法(ビタミンC)

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日はビタミンCです。


読んでいるのは、引き続きこちらの本。

ビタミンC

医学書で学び、ビタミンCつまりアスコルビン酸を用いたことのある医師の誰もが、ビタミンCは安全なだけでなく非常に有益で、副作用も軽微で一過性のものしか見られないことを知っている。どれほど安全でどれほど有益か、ケンブリッジのギルトン大学で医学フェロー・チューター・ディレクターを務めるジョン・マークスの報告を引用したい。「ビタミンCは一貫して高容量で非常に長期にわたって投与されてきたビタミンだ。多くの人が1g以上の量を風邪の予防薬として、あるいはさまざまながんや薬物依存の解毒、統合失調症に、そして創傷治癒や胃でのニトロソアミン(註:発がん性物質)産生予防に用いている」。ビタミンC大量投与に対する批判の一部を挙げると、シュウ酸分泌増加による腎結石やビタミンB12代謝への干渉、突然の治療中断による反跳性壊血病、鉄吸収過剰、そして遺伝子変異作用などである。過去数年のデータを広範に徹底して分析したところ、こうした深刻な訴えはすべて否定された。患者の数人、とりわけ高容量投与して日が浅い人たちは緩下作用を経験することがある。この経度で無害な副作用でさえ、必ずみられるとは限らない。

・ビタミンCは著しく安全だが、それでもヘルベルト博士が提唱した幻想の体系化を止めることはできていない。ヘルベルト氏はビタミンCが腎結石を生じるかもしれないと初めて唱えた人物で、これは間もなく追従する人たちで「かもしれない」から「生じさせるだろう」に変化していった。しかし、この起きてもいないことへの科学的説明がたったひとつも見つからないままであり、ビタミンCに関わる最近の研究者は全員この偽物の知見を無視してきた。私は40年以上大量にビタミンCを使ってきて、腎結石が起きた経験は一度もない。キャスカート博士は膨大な人数の患者にビタミンCを使って素晴らしい経験をしている。彼の臨床実践では逆に、腎結石の発生は想定されるよりもずっと少なかったという。ビタミンCは腎臓も肝臓も障害せず、こうした考えはメガビタミン治療に対する反対者たちによって推進されることとなった。彼らはこれらの間違った主張で人々を怯えさせようと目論み、医師が患者たちにビタミンCを投与しないようにすることに成功した。おそらくいつか誰かが、ビタミンCを摂っていれば得られたはずのよい健康状態を人々から奪おうとした有害な試みの代償を算出してくれるだろう。

・私の患者にはビタミンCアレルギーが数名いて、ほんの50㎎でさえ耐えられないケースもあった。おそらく、ブドウ糖からビタミンCに変換する際の原料や化学的プロセスから生じる結晶性物質に含まれるわずかな化学物質に対する極端な過敏症があると思われる。食物中のビタミンCに対してはアレルギー反応がみられないし、もしそうならとっくの昔に死亡していただろう。誰もビタミンCなしでは生きられないのだから。

・ビタミンCで最もよく見られる副作用は便が緩くなり、極端な場合下痢を起こすことである。これは量が多いほど起こりやすい。キャスカート博士によれば、この特徴は至適用量を決めるのに使える。軟便症状がみられるまで投与量を増やしていき、そこから1-2g減じた量を1日投与量とするのだ。この量は1日数gから50gまで個人差がある。私は子どもには1日3g以上与えないので、この問題が生じたことはほぼ皆無だ。特に便秘のある高齢者にとっては、有益な緩下剤となる。

ひとりごと

ビタミンCに着せされた濡れ衣の話が再度登場。でもヒトは「ビタミンCなしでは生きられない」ので、上手に活用したいところです。
ビタミンCアレルギーというより、工業的精製過程に微量に混ざる化学物質がアレルギーを生じさせるのであれば、自分に合う商品・合わない商品を見つけることも必要なのかもしれません。ビタミンCで具合が悪くなるという人と出会ったら、これはぜひ伝えてあげたいですね。