ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(3):ビタミンと薬物療法(チロシンやフェニルアラニン)

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日はチロシンフェニルアラニンです。


読んでいるのは、引き続きこちらの本。

チロシンフェニルアラニン

・カナダでは,チロシンフェニルアラニンは今のところ入手できる状態ではない。健康省の健康製品食品局(? The Food and Drug Division of Health and Welfare)はアミノ酸販売に対して正当な根拠のないたくさんの制限を設けて,人々が健康を自己管理することを妨げようとしているみたいだ。1989年、アミノ酸に関する専門家勧告委員会は審議の結果を提出した。「500mg入カプセルなどの低用量アミノ酸は健康な人達にとって有害とはみなされないが、possi free formの一日摂取量に匹敵する量のアミノ酸は、日々の食事に加えたり一日を通じて摂取したりすると安全ではない」。しかし、委員会は栄養補助食品としてのアミノ酸使用の根拠は示しておらず、長期使用の副作用を心配した。「アミノ酸を一般の人たちが入手できるようにすることを推し進めるべき合理性はないようだ。もしもアミノ酸がや薬理学的作用を発揮するなら、特定の効果を得るために医学的な助言に基づいて使用しないと危険である。もしもこうした効果を発揮しないのであれば、市場で販売されない理由はない。さらに、すべてのアミノ酸はもしも長期にわたって大量投与された場合は、あるいは一部の人々には、毒性をもたらす恐れがあると考えられている。」キーワードは「恐れ」である。危険である「恐れ」のないものはなく、水ですら「恐れ」はある。医学的助言の有無を問わず、実際にアミノ酸を摂った人の毒性反応や有害性については議論されていない。

・一方では委員会はこれらのアミノ酸は安全だと結論を出した。しかし他方では、アミノ酸は危険かもしれないと結論づけた。FDAは一般の人々を守るため、食品を除いて、要求のあったものは何であれ処方箋が必要であるという、子どもじみた図式に縛りつけられている。アミノ酸使用はビタミン同様特許がないので、この安全な製品の販売を妨げるべきではないとFDAを説得するために莫大なお金を掛けるだけの動機づけはどの企業にもない。もしも彼らに一貫性があるなら、ビタミンはすべて市場から排除されるだろう。私が思うに、FDAは一般の人だけでなく処方を必要とする膨大な数の患者たちが押し寄せる医療者たちからも猛烈に反発されることを恐れているのではないか。これは以前カナダのマリタイムで起きた、処方がないとお酒が買えなくなった時の経験と似ているかもしれない。そのような動きがあるという噂があり、しかしそれを私が尋ねるとある健康省の大臣から絶対にそうはならないだろうと言われた。だが、アミノ酸の価値に気づいている人はごく少数なので、私から見れば何の裏付けもない規制を導入することになんの躊躇もなく踏み切れるのだ。FDAは一般人たちがこの規制をスルーしてくれて、ビタミンやミネラルみたいにアミノ酸に対しても熱狂したり強い関心を持ったりしないままでいてほしいと望んでいる。政策に挑んでいるのだ。FDAは販売されているすべての製品が無毒であり(つまり、薬局が自由に販売できるすべての市販薬よりも害が少なく)、製品ラベルが基準を満たしていることを確証するために制限をかけるべきである。彼らがアスピリンを処方薬にしたらどんなにいいだろうかと私は思う。毎年多くの人たちがアスピリンで死亡するのに、純粋なビタミンやアミノ酸で死ぬ人はいないのだから。

・カナダの栄養研究所の博士は、人々がアミノ酸を自由に入手できるようにすべきだという見解を述べている。有害であるタバコやアルコールも売られているし、市販薬にも抗ヒスタミン剤や鎮痛剤や鎮咳薬のような有害なものもある。アミノ酸はビタミン同様安全なものだから普通に販売されるのが望ましい、と。

ひとりごと

もっと丁寧に読みたかったけど、タイムオーバー。
フェニルアラニンチロシンなどの各アミノ酸の効能の話ではなく、アミノ酸が販売されないカナダの状況を嘆くのがメインの章でした。
アミノ酸もビタミン同様自然界に存在する物質なので特許がなくて儲からないから、アミノ酸が普通に流通するように懸命に働きかける企業はない、という一節に悲しさを感じました。うううっ。