歯切れの悪い卒業報告:彼女に何が起こったか?【前編】
歯切れの悪い報告を聞く
今日もまた、学年が終わった報告をしてくださるお子さんや親御さんとお会いして。
その中で、小学校の卒業式の様子を聞かせてくださったお子さんと親御さんがいました。
「卒業式は、ええ、まぁ、無事に終わりました…」とお母さん。
あれ、お母さんなんだか歯切れが悪い感じですね?
「うん、まあ終わったよね」
えっ、あなたまでそのテンション??
きっかけは、卒業文集。
卒業式の話をする前に、数回前の彼女の診察でのできごとを少しご紹介しておきます。
彼女が通った小学校では卒業文集を「将来の夢」というテーマで書く、と全員統一して決められていて。
ファッションに興味のある彼女は「自分のブランドを立ち上げて、服やアクセサリーをたくさん売ってお金をいっぱい稼いで、自社ビルを建ててその最上階に家族と住む」といった感じの夢を素直に書いたのだそう。
ああ、普段から大人っぽい彼女にピッタリの素敵な夢!!
自分のやりたいことが具体的だし、叶えたい目標もリアルだし、12歳の今すでにこんなにもしっかりイメージできていたら、これから大人になるまでに何を身につけていくべきか、何に一生懸命になるべきかがくっきり浮かび上がってきますよね。
担任の先生に提出したら…
この作文は授業中に書いて全員が先生に提出するものでした。
みんなの作文と一緒に先生のもとへ集められ、しばらくして返却されたところ、担任の先生の赤文字コメントが。
「あなたはお金をいっぱい儲けるために仕事をするのですか? この作文を読んでおうちの方はどう思うでしょうか。もう一度考えてみてください。」
え? えええっ?
お母さんも彼女から作文と担任のコメントを見せられて困惑状態に陥ったそうで、わざわざ親子で私にこの作文を見せてくださったのでした。
「この子のありのままの夢を書いているのが親の私にはわかるし、応援してやりたいと思ったのですが、子どもがお金を稼ぎたいという夢を語るのはいけないことなのでしょうか?」とお母さん。
お、お母さん。
そしてMちゃん。
困惑する気持ち、お察しします。
…長くなったので、次回に続きます。