ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(3):ビタミンと薬物療法(薬による治療・前半)

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日は薬による治療の話です。


読んでいるのは、引き続きこちらの本。

薬による治療(前半)

・脳機能障害や行動障害を持つ子どもの分子栄養学的治療における3つの主要なビタミン(B3、B6、C) "トキシモレキュラー "治療に使用される薬とは違っては毒性がなく、副作用も比較的ない。 オズモンド博士とリムランド博士によって作成された次の 分子栄養療法 (ビタミン)と薬物療法の比較表は、子どもの治療に用いられるビタミンと薬の相対的な毒性の概要をより詳細に示している。 オズモンド博士がリムランド博士が行った病気の子どもへの大規模メガビタミン研究を読んだとき、このデータは薬やビタミンの毒性に対する有効性を検証するのに役立つと感じた。 有効性とは治療によって改善することであり、毒性は状態を悪化させること。 相対的有効性とは、有効性と毒性の比率である。 したがって、ある薬が治療された人口の50%に役立ち、10%の人をを悪化させた場合、相対的効力比(RE)は5になる。 もし、それが25%効いて25%悪化したらREは1 であり、10%効いて50%悪化したとしたらREは0.20になる。 よい薬は明らかに高いRE比を持っている。 これらの推定値を作るために、少し~かなり悪化した子どもの数よりも、確実に改善のあった子どもの数を加えてみた。


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・ビタミンプログラムの方がはREが非常に高く、効果が高いことは明らか。最も優れた薬剤であるメラリルのREは1.84だった。

・メラリルとビタミン剤は別として、よい変化と悪い変化は同程度みられる。メラリルでは、2:1の確率で改善する。 私は統計学者ではないが、レオニード・ゴールドスタインが教えてくれたロナルド・フィッシャー卿のルールに従う。 メラリルの方が薬を組み合わせて飲むよりもよさそうだ。 しかしビタミン剤の場合、確実に助けられる確率はメラリルの3倍であるが、悪化する確率は25分の1以下である。 確実に助けられた/悪化したという数字に注目してみると、メラリルとビタミン剤というふたつのカテゴリーの治療では、私の計算によるとビタミン剤のほうがメラリルの12倍の効果がある。確実に助けられる可能性が約3倍高く、害を及ぼす可能性が4倍低いからだ。 これまでにどのような薬がこのように評価されてきたのかは知らないが、こうした観点から投薬やその他の医療処置を検討することは可能であり、薬や他の治療効果については全く異なる光を投げかけてくれるかもしれないと思う。

・ビタミンと薬物療法の相対的な利点とリスクについて患者や親に知らせるために、私がここで提案した方法よりもエレガントで効率的な方法があると思うが、私の知る限りまだ一般的には使われていないので、それに取って代わられるまで私はこの方法を代用する。薬や手術、ヘルスケアの特徴や改善の程度を測定するとなると長年にわたってとても忍耐を要する。私の経験では、医学的な問題がこのような方法で示されることはほとんどない。 もしそうなれば、利用可能なさまざまな治療法の中から選別し、医師たち、患者たち、そしてその家族が最善の治療方針を現実的に描くことが容易になるかもしれない。また、このアプローチは現在の自然史では十分に調査されていない病気に私たちの注意をひきつけ、治療を妨げるよりむしろ助ける変化について合理的で筋の通った決定を下すことができるようになるだろう。

・リムランドのデータは、薬物療法に失敗した子どもたちという特別なグループのもので、大集団のデータとは違うとか追跡期間の長さが不十分だとかと主張する人たちもいるかもしれない。だがむしろ、一般的な薬物療法に反応しなかった多くの子どもたちにごくわずかな副作用しか出さずに改善をもたらしたのだから、メガビタミンによるアプローチは優れているという結論が強化されたのだ。もしもすべての子どもたちがメガビタミンを開始したら、治療成績はさらに高くなることが大いに予想される。さらに、ほとんどの子どもたちが自閉症統合失調症であり、すべての子どもたちのうちで最も重症で治療困難だったのである。

ひとりごと

通常の薬物療法を毒扱いする(「トキシ」モレキュラーと呼ぶ)筆者の毒舌っぷりにドキドキ。
でも今回の表のように有効ケースと悪化ケースの比を出すと、本当に安全で効果が高い治療法は何なのかを客観的に見ることができますね。興味深かったです♪