ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:治療(4):予防

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日は治療の章の最後、予防についてです。

読んでいるのは、引き続きこちらの本。

予防

・予防は、受精前から始まっている。妊娠前から両親とも健康であるべきだ。健康な男性はより健康な精子を持っている傾向がある。女性は適切な栄養、つまり必要不可欠な栄養素を十分量摂っているべきだ。妊娠期間中ずっとすべての病気に速やかに注意を払い、サプリメントを摂り続け、たばこやお酒やストリートドラッグその他赤ちゃんに害を及ぼすような薬をやらないことだ。最後の注意事項は書かれたとおりの量のビタミンやミネラルには当てはまらない、なぜなら赤ちゃんにとって有益な効果しかないからだ。ビタミンやミネラルは赤ちゃんを分娩時や生来の障害から守ってくれる。葉酸ビタミンB12は脊柱形成不全を防ぐ上でとりわけ重要だ。

・ものすごくはっきりした理由がないのであれば、赤ちゃんは母乳で育てるべきだ。離乳食は砂糖やその他添加物が入っていないものであるべきだ。風邪や耳痛などを何度も繰り返すならアレルギーを調べなくてはならない。子どもに最もよくみられるアレルギーは乳製品だ。どの子にもビタミンCを与える必要がある、なぜなら誰も自分で作れないからだ。そして多くの子にはビタミンB複合剤も投与するべきだ。子どもが適切に発達をしていなかったり、学習や行動の障害がみられるなら、これは適切なことだ。つまりこれは、早期の効果的治療が後の人生の主な障害や病気を予防してくれるということを別にすれば、予防の話ではなく治療の問題になのだ。

・脆弱な家族とは、ひとり以上の家族構成員が学習や行動の障害を抱えていたりあるいは統合失調症であったりすることだ。このような家族ではすべての子どもにビタミンB複合体を与えるのが賢明であり、もしそれが適切でなければ少なくともB3を毎日100mgを与えるのがよい。

・一方の親が統合失調症であれば、その子どもたちも罹患する確率は約10%である。しかしこの40年以上で、統合失調症を持つ親から生まれた子どもたちが統合失調症は発症しなくても行動や学習の障害を呈するだろうことを観察してきた。統合失調症の遺伝子はまだはっきりせず、ふたつ以上の遺伝子が関与しているようではあるがそれも明らかではない。両親からひとつ遺伝子を引き継いだ子どもたちはそれだけでは統合失調症を呈さないが、ビタミンB3には反応する。この本に登場する子どもたちの多くがこの群に属する。もし両親ともに統合失調症だった場合、子どもたちが統合失調症を発症する確率は約50%である。これが統合失調症の親から生まれた子は全員注意深く見守り、ビタミンCと最低100mgのB3を補うべきだと私がいう理由である。明らかに問題があるという証拠があれば、500-3000mg必要であろう。統合失調症の親の子を統合失調症にする必要はないのだ。

・私は過去に何度か、十分な量のナイアシンアミドを日常的な食品、すでに少量ナイアシンアミドが含まれている小麦粉などに加えるべきだと勧めてきた。子どもの障害の発症や統合失調症の発症は今後10年のうちに劇的に減少するだろう。

・学習や行動の障害を持つ親たちも同じ原則に従うべきだ。ビタミン治療に反応した親たちであれば、子どもたちも同じ治療法で利益が得られると確信をもてばいい。ビタミンB3による治療に反応した一親等の人たちは、もし全ての面において自分は正常だと感じていたとしてもビタミンを摂ってみるのもいい。ものすごく気分がよくなることに驚くだろう。一例をあげよう。何年も前、私は統合失調症の一卵性双生児の調査をしていた。その中の一組に、一方は統合失調症でその双子のきょうだいは完全に正常だと考えられている双子がいた。正常な人は高校の校長で、もう一方は無職だった。統合失調症だった方の人がビタミン療法で回復した。彼にいつも付き添って私のところへ来談していたもうひとりが自分も同じビタミンを摂ることはできるのかと聞いてきた。彼の相方に及ぼしたビタミンの影響に驚き、自分では正常だと思うが同じものを摂取してみたいと思ったのだ。1カ月後に来談したとき、ビタミンを始めてからずっと調子がよくなったこと、今のいい状態から振り返ってみると自分は思っていたほどよい状態ではなかったがそれ以外の状態を知らなくてそれが普通だと思っていたことに気づいたことを報告してくれた。こうした話を本当にしばしば聞くので、患者の一親等の人は自分にビタミンを試してみるのが賢明だということを私は疑わない。彼らも同じ遺伝子を持っていて、ただ病気を起こすには不十分ということなのだ。これらの遺伝子はより多くのビタミンB3を必要としている。統合失調症遺伝子があると同定された人たちは、ビタミンB3とその補酵素、つまり酸化型/還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD、NADH)を多量に必要とすると考える。

・予防とは、病気になる前に、あるいは病気になったと感じたらできるだけ早く、患者の回復を助けるものと同じプログラムを用いることを意味する。

ひとりごと

たしかに妊娠がわかったら二分脊椎予防などを目的に葉酸ビタミンB12を摂取することは割と多くの妊婦さんが実行しているように思うのですが、それと同じように早くからCはB群を摂ったほうが統合失調症や行動・学習の障害のリスクが下がるということなんですよね。
一見無症候でも統合失調症関連遺伝子を持っている人にはビタミンが効果的というエピソードもとても興味深く読みました。「これが普通だと思っていたけど、それほど良くはなかったんだと気づいた」という言葉には説得力がありますね!