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こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:確証のための情報(1):分子栄養小児科学的研究・前編

火曜日恒例、ひとり読書会。
今日からは待望の章、確証のための情報です!

読んでいるのは、こちらの本。

分子栄養小児科学的研究・前編

・研究者たちは、長期間正しい用量を使用すると同様の治療反応がみられることを発見した。メガビタミン療法は通常、薬物のように迅速な反応は起こさない。治療者は忍耐強く結果を待たねばならない。さらに、回復過程に他の治療補助剤を使用する必要がある場合もある。この仕事を真摯に繰り返してきた医師から、ネガティブな報告はなかった。不十分な量を短期間で使用した数例の失敗例はあり、その結果をもとに無効だとする完全に不当な主張も行われた。その手順を追試すれば、彼らが何の反応も得られなかったという事実を確認できる。時間がもったいないので私はこれらの失敗した不十分な研究については言及しない。基本ルールに従っていない研究に言及する必要はない。つまり、もとの治験責任医師が行った方法で研究を繰り返す。

・私たちのメガビタミン研究を医学実践に適応させた最初の医師は、ノースダコタ州で最も有名で人気のある小児科医で、グランドフォークスで診療しているシルバーマン博士だ。彼は1972年に私たちの研究について聞いた。彼は数日間私を訪ね、他の分子栄養医学実践者を訪ね、私たちの結果を観察して治療を始めた。1974年4月までに彼は多くの患者を治療した。結果にとても感銘を受け、彼はすぐさまさらに250人の患者を追加し実践を拡大した。ノースダコタの家族たちが彼の成功を聞いて、大人でさえ彼に群がり始めました。ある日、彼は私に彼が定義する小児科ケースは「30歳未満」と教えてくれた。彼の地域にはメガビタミン療法に詳しい他の医師がいないため、彼が診療を始めた。

・彼が見たように、ビタミン療法は彼の小児治療において薬物に取って代わった。 「分子栄養学的アプローチを始めて以来、ゼロにはならないにしても多くのケースで薬物の必要性は著しく減らせることがわかった。従来どおりのあらゆる治療法を長期間続けてゼロ~最小限の効果しか得られなかった例も含めた多くの子どもたちについて、その親たちは多動性の低下や行動と注意力の向上、モチベーションの向上だけでなく、読書やその他の学術的スキルの著しい改善も報告した。急速に協調能力も含むあらゆる機能を改善させた数人の子どもたちもいるということは、この方法が単に抑制物質としてはたらくというよりは、適切な生理学的治療でもあり、おそらく神経系の関連領域での代謝機能を強化しているのではないかと示唆する。

・「衝撃的なケースは1972年7月に初めて会った9歳8か月の少年。彼が次の学期は学校に戻らないと言ったため、落ち込んでいた母親は狼狽した。彼は幼稚園で就学延長していた。彼は1970年と1972年の初めにさまざまな心理検査を受け、知覚障害を伴う境界知能であると示唆された。母親も彼の書くものは雑だと語った。彼は広範囲の指導を受け、家族はカウンセリングされた。彼はまた、彼の読解力向上のための試みとして、視覚エクササイズのコースを受けた。薬物療法も含めたこうした取り組みにもかかわらず、彼は非常に多動・注意散漫で、先生は彼の行動が秋学期のクラスで非常に混乱していると不平を言っていた。身体検査は役に立たなかったが、5時間耐糖能試験における平坦な曲線グラフは腸の最終吸収の何らかの障害を示した。別の検査で彼の骨年齢が約2〜3年遅れているとわかり、他に医学的検査での唯一の所見は軽度異常脳波だった。彼の食事中のたんぱく質は増やされ、彼は分子栄養医学治療下に置かれた。

・「彼は9月に特別支援教育1年生に戻り、数週間後、彼の注意持続力・反応性・協力性は非常に優れていると先生は述べた。彼の読みは改善され、これまでなかったことだが本を家に持ち帰るようになり、彼の文章もより読みやすくなった。当時の彼の教師は、なぜ彼が今まで失敗したのか理解できないと述べた。1973年1月(分子栄養医学的治療開始から約5カ月半後)、母親から電話があり、1年生の特別支援学級から直接3年生の通常学級へ移り、この日まで彼はクラスで受け入れられるように機能し、学業成果に誇りを持っていると報告があった。学校当局に確かめたところ、特別支援教育担当のスクールソーシャルワーカーによって確認された」。

・シルバーマン博士は、かなり集中した経験に基き、微小神経障害があり知覚的および行動的問題を抱える子どもにとって分子栄養医学的治療が、最も安全なファーストチョイスの治療選択であると結論づけた。シルバーマンは、最適な回復には3つの基本条件が不可欠であると強調した。

  1. 子どもは適切な分析と診断を受けなければならない
  2. 患者は、脳に大きな構造的欠陥・重度の奇形や進行性神経疾患のない、教育可能な状態でなければならない
  3. 患者は、現実に接点のある1人以上の人物と持続的に関係を築く必要がある。その人は安定していて、心配してくれる、障害者福祉に専門性なる人である必要がある

シルバーマンはいくつかの好ましい副産物・肯定的な副作用を観察した。多くの子どもたちは、活力と幸福感が高まる。さらに、多くの家族で罪悪感が消え、自分たちが抱える管理上の問題をより適切に解決できるようになった。最後に、家族は生物学的および遺伝的側面に警告されたため、他の家族メンバーに発生した問題にも気を配るようになった。

・『乳児自閉症』の著者であるバーナード・リムランド博士は、この分野の他のほとんどの専門家よりも自閉症児のためのさまざまな治療アプローチで個人的に経験を積んでいる。彼は1973年、メガビタミン治療に興味を持つようになった経緯と、彼の大規模な実験から得られた結果をレビューした。統合失調症治療にビタミンB3を大量使用するという文献を読んだとき、彼は最初に興味を持った。彼は重度の精神障害を持つ子どもたちへ精神医学的治療の結果に不満を抱いていたので、小児行動研究所を設立した。彼はすぐさま、現代の精神医学がそれほど役立たなかったたくさんの親子たちと接触した。彼の研究所は、アメリカのほぼすべての州と、カナダやイギリスなどほぼすべての外国の専門家や保護者からからの連絡を受けていた。彼は莫大な範囲の革新的な治療法に気づいた。治療の一例を挙げると、喋るタイプライター、コンピュータを使ったアプローチ、パターン化、遊びと音楽、怒りの減少、運動、感覚の剥奪、視覚と運動の訓練、触覚刺激、LSDとその他の幻覚剤、ステロイド注射、脊椎の調整、結腸浄化などが含まれる。

・彼が観察したように、「この多様なアプローチの多くは劇的な臨床資料に基づいて熱狂的な提案者がブレークスルーとして提示したものだが、こうしたものに触れると自然にある種の懐疑論が起こるものだ。初めは懐疑的だったにもかかわらず、医師らと親たちの両方から有効であるととても頻繁に報告があったので、慎重にデザインした研究でアセスメントすることに決めた」。その方法は分子栄養医学的治療であった。

・リムランドは以下のようなエビデンスに説得された。症例の多くは、互いに独立した試行錯誤による個々からの報告だったが、それは2つの主要なビタミンに驚くほど一貫して集中していた。子どもたちは非常に重症で重度の行動障害があったのに改善が見られたので、それが変化した評価するのは間違いのないことであった。すでに子どもたちのほとんどは、通常の向精神薬に無反応であった。そしてすでに彼らの両親はどんな薬も何の改善も及ぼさないのではないかと非常に懐疑的だった。子どもの被験者57人のうち、メレリルを与えられた9人のうち2人だけが有意な改善を示した。母親は、ビタミンを意図的あるいは誤って中止したときには急速に元の状態を再発してしまうと報告した。一部の母親は、よい結果は高容量のときのみみられるという容量依存性の関係があると報告した。(つづく)

ひとりごと

前回までで診断・治療の一般的説明が終わったので、ここからは事例を含む具体的な情報が続く予定。小難しい概説よりも、どんな子どもたちがどんなふうに変わっていったのかを知るほうが分子栄養学的治療をさらに身近に感じられそうで楽しみです♪
シルバーマン博士とリムランド博士が子どもの発達や精神障害に対する分子栄養学的療法にどう取り組んだのかを読むだけでワクワクします♪