ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

コロナウイルス感染を自力で防ぎたいなら、知っておきたいのはコレ♪

ようやく認められてきた…?

Twitterを何となく眺めていたら、こんな記事が流れてきました。

新型コロナウイルスの重症患者はビタミンD不足であることを示す研究結果が発表される(GIGAZINE

この投稿のコメント欄を見ていると、この報告が肯定的に受け止められているとは到底思えませんが、それでもこうやって情報が表に出てくるようになったことはちょっと感慨深いかも…。

元論文をたどる

GIGAZINEさんの記事の元論文として紹介されていたのはこちら。
Frank H et al.(2020) Vitamin D Insufficiency is Prevalent in Severe COVID-19.

ただ、この論文はできたてホヤホヤすぎて、「まだ評価されていない新しい医学研究を報告しているため、臨床実践の指針として使用すべきではない」と書かれています。
それでも、おそらくWORDで投稿されたままレイアウトの全文をこのページからDLすることはできますね。

もうきちんと論文化されたエビデンスはないのかな…とちょっと探してみたら、やはり今年4月に出たばかりの論文がちゃんとPubMedに掲載されていました。
ページ数がないので、まだ紙の雑誌には載っていないのでしょうね。PDFは無料で全文DL可能です。
Grant WB et al.(2020) Evidence that Vitamin D Supplementation Could Reduce Risk of Influenza and COVID-19 Infections and Deaths.Nutrients,12(4).

ビタミンDの補給がインフルエンザやコロナウイルスの感染と死亡のリスクを低減しうるというエビデンス」というタイトル、期待大です♪

早速読んでみた!

たくさんの既存の論文を引用しながら説明されているのですが、

ビタミンDはさまざまなメカニズムで感染症リスクを低下させる

ビタミンD

  • ウイルスが体内で増殖するのを抑える物質(カテリシジン、ディフェンシン)を誘導する
  • 肺粘膜を傷つけ炎症を起こして肺炎を引き起こす、前炎症性サイトカイン濃度を低下させる
  • 抗炎症性サイトカイン濃度を上昇させる

などのメカニズムで、ウイルスによる肺炎症状から身体を守るのがビタミンDの作用。

コロナウイルスも、ヒト体内のビタミンD(血液検査では25(OH)D=25ヒドロキシビタミンDというものがビタミンD濃度を反映するものとして測定できます)が低下する冬の北半球で発生しました。
また、ビタミンD欠乏症は急性呼吸窮迫症候群を引き起こす一因となることもわかっています。
コロナウイルスによる死亡は年齢が上がるにつれ、また慢性疾患が併存しているほど増加すると言われていますが、これも25(OH)D濃度の低下と関連があります。

ウイルスを増やさないため、そして呼吸器を守るために、体内のビタミンD濃度をしっかり上げておいた方がよさそうです。

血液検査で確認するのはちょっと現実的ではありませんが、この論文によれば1カ月間毎日10000IUのビタミンD3を摂取して、血液中のビタミンD濃度を速やかに上げてから、1日5000IUに落として濃度を維持するのがよい、と書かれています。

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…たまたま我が家に両方ありました!

「ビタミンって摂りすぎると害があるから、やめたほうがいい」という親切なご心配によるアドバイスは、ビタミン情報の界隈には必ずといっていいほどついて回るもの。
Dを摂ったほうがよさそうとは思うけど、副作用が怖い…という方のために、この論文からもうちょっとだけ孫引き引用しておきますね。

ちなみに、引用されていた論文はこちらです。
Monthly high-dose vitamin D supplementation does not increase kidney stone risk or serum calcium: results from a randomized controlled trial(Am J Clin Nutri, 2019)

ニュージーランドで行われた5110人を対象とした高用量ビタミンD補充実験では、中央値で3.3年間、毎月10万IUのビタミンD3を補充しても、腎結石の発症や高カルシウム血症の発生率に影響はなかった」と。
対象人数が5000人以上ととても多く、3年以上にわたって長く研究されていること、無作為割り付け試験(被験者はビタミンDを飲む人と偽薬を飲む人に分かれていて、自分がどちらを飲んでいるか本人にはわからない)だったことから考えるととても信頼性の高い研究だと思います。

毎月10万IUということは、1日3000IUくらい。それを3年間続けてもそのせいで血中カルシウム濃度が高くなったりすることはなかったということ。
それでも「ビタミンは危険!」と飲むのを回避するのか、コロナウイルス感染予防のために自分にできることに取り組むのか…それは読んでいるあなた次第♪