ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの発達と感覚統合:第5章 前庭覚の障害(3)

自分のために感覚統合を学ぶ

継続は力なり!です。
今日もじわじわ進みます。

子どもの発達と感覚統合

子どもの発達と感覚統合

  • 作者:A.Jean Ayres
  • 発売日: 1982/07/01
  • メディア: 単行本

歩みは遅いけど、前進はしてるはず!! たぶん。

第5章 前庭覚の障害(3)

第II部 感覚統合障害、前庭覚第3回。
前庭覚の反応亢進について。

・神経系にとって感覚は「食べ物」。でも過剰では問題を引き起こす。
・過剰な前庭反応を持つ子どもは、正常に比べて後眼振の持続時間が長い。前庭系はたくさんの経路と多くの機能があるので、その一部の活動性が低く一部の活動性が過剰という可能性もある。
・前庭入力に対する感覚亢進は、重力不安と運動への不耐性のふたつがある。
・縁石の上を歩くなど、倒れる恐れが全くなくても前庭感覚に対して過剰な情緒的反応(実際は転ばないのに怯える)を示すのが重力不安、または姿勢の不安。
・重力不安はそれ自体が強化学習の妨げになることはないが、慣れないポジションに置かれたり、誰かがその子の動きや位置をコントロールしようとすると、恐れや不安や苦痛を感じる。他人が自分の側に立つことさえ嫌うこともある。
・重力不安は重力に引かれることに根源的脅威を感じる。理性と関係なく、脳の奥からくるもの。子どもはまったく惨めに感じている。
・子供は石ころ道やでこぼこ道を恐れ、階段の上り下りには手すりを注意深く握る。
・頭を低く下げると、重力受容器に最大の刺激がもたらされ、入力が調節できない人にとっては特に脅威となる
・他者から見るとつきあいにくいやつ、臆病者と思われやすいだろう
・重力不安のある人も克服したいという欲求を持っているが情緒的反応がそれを妨げる感覚統合療法の中で治療者が導くことで改善が可能になる

・重力不安のチェックリスト

  • 足が地面から離れると不安になったり、足を下ろそうとする、信頼する誰かに支えられていれば協力可能
  • 転ぶことや高さに対して不自然な恐怖がある
  • トンボ帰りや床を転がること大騒ぎのような頭が上下逆になることを嫌う
  • 現地の遊具や動く玩具で楽しむことがない
  • 高いところから低いところへ飛び降りることを避ける
  • 自転車に乗る前の席から後ろの席へ移る坂を上り下りするでこぼこ道を歩くというような不慣れな動きをするのが特に遅い
  • 階段の上り下りに時間がかかり、他の子に比べ手すりをよく使う
  • 登ることを避けようとし、私が見つける時は両手でしがみつく
  • 高いものの上を歩くのを怖がる、他の人には高くないようなところでも
  • ぐるぐる回されるってバランスを崩すように感じる
  • 車が曲がり角をスピードを上げて曲がると怖がる
  • 実際の問題は子供が空間の中で動きを統御できないということだが子どもの空間の判断が不正確であるかのように見える
  • 座っている時、突然後方へ押されると恐怖を感じる

・運動への不耐性:反応過剰な前庭系を持つ子どもの一部は速い動きや回転の最中に非常な不快を感じる(怯えではない)。乗り物酔いもしやすい
・極度に敏感な場合、他の人が回っているの見るだけで気分が悪くなる眼反射が刺激され前庭核を活性化するため
・回転は三半規管を活性化すれば重力受容器に対してはあまり影響しない

  • 運動への不耐性については、重力不安ほどには研究が進んでいない。学業成績の妨げになるか、行動の妨げになるか確信がない。性格発達の妨げになる傾向の方が大きい印象

・歳をとるにつれ、子ども時代に持っていたほどの耐性を持たなくなり、大人は運動をそれほど楽しまなくなる

ひとりごと

前庭系が過剰反応する重力不安タイプは、臆病で消極的に見えるとういうことが分かりました。簡単そうに見えることでも、本人がとても怯えているということですね。
不耐性タイプは、怯えないけど本当に不快。乗り物酔いするのはこちらのタイプと理解しました。

次回から新しい章に入ります!