ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

『君はずっと一緒だった』、読み終えました…

ついに読了…

花風社さんから発売された『君はずっと一緒だった』、今日は一気に最後まで読み切りました。

なんだか、もう…。
どんどん自分がどうしようもない悲しみの中に落ちていくのがわかります。

まとまりがありませんが、思うことはたくさん…

明生くんが自死してしまった理由を知りたい、「なぜあのとき…」って経緯をたどって確かめたい、という卯月さんのお気持ちがとても伝わってくるし、本当によくわかるのです。

でも、それをしようとすればするほど卯月さんが傷ついていくのがもういたたまれなくて。

明生くんがこの人に出会えてよかったなと昨日(高校卒業時点で)思っていた黒川先生に、今日はずたずたに裏切られた気持ち。

「彼が亡くなっても、僕の心の中に生きているから悲しくない」???
そんな言葉を、お子さんを亡くしたお母さんに向かって掛けられる神経がまっっったく理解できない。
そして学校や自分の立場を守ろうとコロコロ豹変するところにも本当にガッカリ。

それでも、高校生当時の明生くんはきっと、黒川先生と話すことを楽しんでいたのだと思う。せめてそう思いたい。

後医は名医っていうし、あとから「あのときこうしておけばよかったんじゃないの?」って知ったように言うのは簡単で卑怯なことだから避けたいけれど。

でも、高校のときに黒川先生と卯月さんがもっと意思疎通をはかれていたら何か違ったのかも…とどうしても思ってしまいます。

それから、この中高一貫校が保護者全体に対してもう少し先入観や敵対心を抱かずにいてくれたら…。
たぶん、明生くん入学よりも前に何かそういうきっかけになることがあったのだろうと思われますが、そんなに保護者“全体”に最初から警戒しなくてもいいのに。

診断の扱われ方についても、もっと積極的に伝えたほうがいいのかと自分自身に迷いが出てきました。
でも、校医も小川先生(女医さん)も診断名は口に出していましたもんね。
診断名がどうかということよりも、お子さん(明生くん)本人の状態をきちんと評価して明生くんと卯月さんと共有することが必要だったのかな…。
これは本当に卑怯な結果論だし、そうしていたら防げたのかどうかはもちろんわからないけれど。

これだけの重大な明生くんの歴史を私たちに公開して共有してくださった卯月さんには心の底から感謝したいと思います。

私たちは、出会う子どもたちの人生に関わらせてもらっているんだ。
そのことを忘れないように。
明生くんや卯月さんのようなつらい思いをお子さんや親御さんに味わわせないように。
強く思わせていただきました。

この本を世に出してくださって、本当にありがとうございます。

最後に。
お母さんの愛情は、明生くんに絶対に伝わっていたと思います。

明生くんのご冥福をお祈り申し上げます。