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子どもの発達と感覚統合:第8章 視知覚と聴覚言語障害

視知覚と聴覚言語障害


感覚統合本のひとり読書。

またまた間が空いてしまいましたが、なんとか再開!


子どもの発達と感覚統合

子どもの発達と感覚統合

  • 作者:A.Jean Ayres
  • 発売日: 1982/07/01
  • メディア: 単行本


今日もはりきっていきましょう!


第8章 視知覚と聴覚言語障害


・今日の教育は読み計算の基本となっている知覚処理過程の発達を促すようには考えられていない。子どもはすでに知覚的基礎ができていると仮定して教育が行われる。社会が教員にに「子どもがもっと読めるように」と圧力をかけると、学校ではより早い時期から読みの教育を始めることで対処しようとする。


・感覚統合療法が子どもの視覚処理過程を改善するまで読みの指導を先延ばしにすることは、長い目で見るとよりよくより早く読み学習ができることにつながる。


・視覚と聴覚の処理過程は重要だし、言語機能の発達は教育や治療の大きな目的。なのに感覚統合療法士がこれらの機能にほとんど注意を払わないのは、治療者がこうした脳機能は基本的な側面の最終的産物と考えているから。


・私たちの身体的行為の全ては私たちが占有している空間との関連の中で怒る前庭系や目や首の感覚の処理過程のうち、どんな障害があってもおそらく知覚は異常きたすであろう


・私達は適応反応やその結果生じる感覚入力を通して、空間を知覚したり自己とその空間との関係を学習する。視覚と運動の処理過程を統合するには受動的な経験だけでは不十分で、能動的な動きを自ら決定する必要がある。


・進化の過程を考えると魚類両生類にとっては視知覚は動いたものを見る能力以外の何者でもなかった。餌や外敵の動きを見るため。

・爬虫類では効果的に動き回るのに必要な空間知覚の能力が進化した。物にぶつからない、略奪者から逃げる、絶好の隠れ場所を見つけるため。

・初期の哺乳動物は森の中であらゆる方向を見なければならなかった。樹上生活は視覚を発達させた。霊長類は中心窩(視神経周辺)と大脳皮質を含むより高次の視覚処理過程を進化させた。しかし最初に脳幹と大脳半球の下位レベルが全体的な知覚像を構成しなければならない。


・視覚過程の進化も、全身運動と前庭覚・触覚・固有受容覚の統合のように古くてより基本的なプロセスの上に進化してきた。感覚統合療法は脊椎動物がたどってきた進化の過程と同じ方法に従っているなぜならば脳はこのような発達過程を踏むように作られているからだ。


・人には視覚入力を処理する二つの脳活動がある。一つは脳幹、もう一つは大脳半球。

脳幹レベルでは前庭入力、目、首、身体からの固有受容覚、そして視覚入力が、一つの統合された感覚プロセスとなる。

脳幹で処理された視覚刺激の一部は、その細部や背景との関係を細かく見るため大脳半球へ送られる。細部を見るのに適切な中心化へ焦点を当てるには、前庭覚や固有受容覚が音を滑らかに動かすように正しく統合されていなければならない。大脳皮質の視覚野が前庭系や筋肉、関節、皮膚と良い連絡が取れていなければ視覚弁別に障害が現れるだろう。


・視知覚に問題を持つ子どもの感覚統合療法は、前庭覚・固有受容覚、視覚(脳幹と大脳皮質)が一緒に働くようにしていかなくてはならない。頚筋は視知覚に重要な役割を果たすことを強調する必要がある。腹ばいになって重力に抗って頭を上げているとき、筋収縮がたくさんの固有受容覚の刺激を引き起こし、この感覚入力が視覚入力の処理を助けるため脳幹に行く。子どもが動くと前庭刺激が加わり、視知覚を助ける。なので、感覚統合療法に用いる多くの活動は、子どもが動きとき腹這いにして行う。


・障害が脳幹レベルにあれば、感覚統合療法の効果は顕著だろう。感覚統合が促進されても視覚障害があるようなら目の筋肉の働きを助ける視能訓練士から訓練を受ける必要があるだろう。


視覚障害のチェックリストは

  • 積み木を上手に積めない、パズルを組み合わせられない
  • 縁石や階段の昇降を嫌がる
  • すぐ道に迷う、なので見知らぬ場所にいるのを嫌がる
  • クレヨンや鉛筆でうまく線が引けない
  • 模様や図案の相違点を認識するのに問題がある
  • 複雑な背景の中から特定の形を見つけるのが困難
  • 線と線の間や適切なスペースに文字を書くのが苦手


・聴覚系は前庭系と密接な関係がある


話し言葉は身体全体の運動企画と同じ者が求められるので、話し言葉に問題がある子が発達性行為障害を合併することが多いのは理解できる。行為障害のある子どもが感覚統合と運動企画を改善する目的で感覚統合療法を行うと話し言葉の発達を促進するのも理に適っている。聴覚入力も話し言葉の企画も助ける。


話し言葉や言語は感覚統合の最終産物のひとつなので、感覚統合療法の効果を判断するために言語と話し言葉のアセスメントが用いられる。


・脳幹レベルで、聴覚入力の主要なセンターである核は、前庭覚・固有受容覚・触覚・振動覚の入力と連結している。


・脳幹での感覚統合を促進することは、大脳半球が読みで求められる言語能力を克服することを助けることになる。2:6-3:0までに話し言葉の発達がみられなかったら、感覚統合療法の訓練を受けた治療者に検査してもらうべき。


ひとりごと

だいぶん間が空いてしまいましたが、挫けず再開しました。

見ることも聴くことや言語の発達も、感覚統合の頂点にあると考えたほうがよさそうですね…学習の問題に直接取り組む前に身体に働きかける、を大原則にしたいと思います。