ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

気になるワード、QEEGってなーんだ?!

初めて知る単語、QEEG


SNSで今日知った単語、それはQEEG。

Quantitative EEG(Eletcric Encephlography)、定量的な脳波検査のことのよう。

日本でもすでに自閉スペクトラム症の診断に用いられている施設があるようです。


まだ一般的なものではないと思いますが、ちょっとどんなものなのか知りたくなって論文にあたってみました。


いくつか論文が見つかりました!


PubMedで検索していくつか気になる論文が見つかったのですが、今日ザクザクッと読んでみたのはこちら。


On the Application of Quantitative EEG for Characterizing Autistic Brain: A Systematic Review (Front Hum Neurosci. 2013; 7: 442)


よくわからない数式(おいおい)が出てきたりしてとっても難解でしたが、今日の時点で私が理解できたことといえば、

  • 普通に脳表面に電極をつけて記録した脳波を周波数帯(δ波、θ波、α波、β波)に分けて平面上にマッピングしたもの
  • 通常の脳波同様、開眼時・閉眼時や何らかのタスク(視覚課題や手を動かす課題など)実行時にも記録することができる
  • 脳のどのあたりに連動して同じ周波数帯の波が伝わるかを見ることができる
  • 自閉スペクトラム症に関しては、開眼時・閉眼時、母親や赤の他人の写真を見せたり手を動かしたりするなどの課題実行時などさまざまな条件でQEEG測定した結果が論文で発表されている
  • 自閉スペクトラム症の中でも、孤立型・受動型・積極奇異型等サブタイプによってQEEGの結果が違う(左右差など)ことも示唆されている
  • QEEGの結果と、行動特性の関連を示唆する研究グループもある


…とまぁ、こんなところでしょうか。


まだ一般的な診断ツールとは言えなさそうですが


少なくとも今日読んだ論文だけでは自閉スペクトラム症を診断するためのツールとして一般的ということではなさそうです。

ただ、本人の動的な脳活動の状態を非侵襲的に記録することができるQEEGを用いて、左右の脳の働きかたのアンバランスを視覚化できたり、治療的介入の結果脳活動(の連動性)の変化を確認したりする面ではこれからもっと有効活用されていくことになるかもしれません。


脳の使い方の左右差や利き側の重要性については、他の書籍でも散々強調されていることですし、そりゃ脳の活動にだって左右差は出てくるでしょ、とそこは素直に納得できます。



特に「薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方」では、よく働く側の脳ばかり使わず反対側の脳を活性化させてバランスを取ることの重要性が説かれていたので、介入して左右差が薄まればそれはきっと介入が有効だったということの指標になりそうですよね。

薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方

薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方


まだ身近な医師たちからQEEGの話は聞いたことがないので、このキーワードを忘れずに関心をもってフォローしたいと思います。