ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

ADHD症状を持つ子どもたちの回復や予防的介入にはどんなことができるの?

ADHDの正体」、いよいよ最終章!

ようやく今日は最終章です。読んできたのはこちらの本。


今回は第九章です。これまでのレビュー投稿はこちら。






 




第九章「回復と予防のために」


・診断に関しては、スクリーニング検査や症状チェックに振り回されないこと、学習障害などの併存に注意すること、愛着障害の有無を見極めることが重要。


・本人に対する治療に関しては、ヨーロッパ諸国はアメリカに比べて薬物療法に慎重。もっと非薬物療法を重視してもよいのかも。薬物療法よりもニューロフィードバックのほうが長期的(6ヵ月後)にみると症状改善の程度が大きかったという研究もある。


・親や教師に対する介入としては、子どもを肯定的に見ることの重要性を伝えて子どもへのかかわりを変えてもらうのが効果的。しかし親自身が愛着の問題を抱えていることもあり、容易ではない場合も多い。親に限らず、治療過程で自分を受け止めてもらうという肯定的体験をすると子どもは劇的に変わっていく。


・予防に関しては、安定した愛着の形成が重要。出生直後は母親から子どもへの、生後半年~1年は子どもから母親への愛着が形成される。幼児期後半から母親と少しずつ離れる時期でもある。母親に愛着の重要性を知ってもらうことも大切だが、母親自身の愛着が不安定なこともあるため、まずは母親が肯定的に受け止められることが重要。


・その他、ゲームやインターネットなどとの付き合い方にも注意が必要。


・学齢期は担任との関係性が重要な意味を持つ。教師にも、発達だけでなく愛着への理解を深めてもらい、生徒の安全地帯になる技術を習得してもらうことは大切。


おわりに…


第九章は、これまで読んできた内容を踏まえた支援や予防の話でした。やはり薬物療法に頼りすぎず、ADHD症状があっても愛着という切り口からの理解を深め、子どもたちへの介入はもちろん子どもたちに関わる重要な大人たちにも行動変容してもらうという視点を持つことが重要だとよくわかりました。


とても気になる本だったので時間をかけてレビューしてきましたが、最後までお付き合いくださってありがとうございました!