ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:新たな症例の経過(1) 症例8・9、おわりに

しぶとく続けてきたひとり読書会、とうとう今日が最終回です!!!

9例目の後ろにある、筆者の結語に頭をがーんと打たれた気分です。


読んでいるのはこちらの本。


新たな症例の経過(1) 症例8・9、おわりに


・(8) J.T.:1984年1月生まれのT.J.は1989年5月に初診。彼は行動と言語発達の問題を主訴に紹介された。乳児の頃、耳の感染症を反復して苦しんでいた。生後10ヶ月で歩けるようになった。4回の予防接種の後、彼の不調は再燃した。生後17ヶ月の時、彼は最初の発作を起こし、ジランチンとフェノバルビタールを投与された。ひどい副作用があってデパケンに変更され、後にテグレトール100mg 1日2回に変更された。彼の最後の発作は1989年1月で、私が彼に会う4ヶ月前のことだった。彼に会ってみると、イライラしていて、気難しくて、不機嫌で、攻撃的で、落ち込んでおり、よく泣いていた。頻繁に風邪をひいていて、顔は青白く、目の下にくまができていた。乳製品を含まない食事を始め、砂糖の摂取量を減らし、ピリドキシン100mg 1日1回、アスコルビン酸 500mg 1日2回、ビタミンB複合体のリキッドを追加した。このプログラムを始めて4日後には、はるかに調子がよくなり、1989年6月22日までには正常になっていた。1995年7月にもまだ元気であった。


・(9) A.L:1984年1月生まれのA.I.は1995年3月1日に初診。生後6ヶ月まで母乳で育てられていたが、その後牛乳を与え始めたところ、ひどく便秘がちになった。10ヶ月までには歩けるようになった。4歳になると、彼の行動は非常に悪くなった。分別がなく、めまいがあり、そこら中を走り回り、親の言うことを聞かなかった。しかし彼は非常に聡明で、4歳の時には自由貿易のメリットについて議論していた。リタリン30mgを処方され、多動性を抑えることはできた。私が彼に会ったとき、彼は典型的なピンク色の頬と赤い耳をしていて、とても落ち着きがなかった。アクシデントがよく起こるため、数年間で27回も病院の救急外来に行っていた。母親が彼の食事から乳製品を除外しても改善は見られなかったが、砂糖を外すと彼ははるかによくなった。私は彼にビタミン療法を始めた。1995年4月4日、新しい眼鏡をかけると行動が改善された。6月20日、彼はよくなっていたが、定期的にはビタミンを摂取していなかった。1995年7月20日、母親は彼の改善を喜んでいた。家出もしなくなり、反応もよくなり、落ち着いていて、6年生をB平均で修了した。まだリタリンを飲んでいたが、私はナイアシンアミド1g 1日3回のフル用量を投与して彼のリタリンを減らす計画を立てている。



【章の最後に】


私が最初にこうした子どもたちの治療を始めた1960年以来、私の臨床経験が証明し続けているようにオーソモレキュラー治療や栄養療法は明らかに学習や行動障害を持つ子どもたちが受けられる最高の治療法だ。過去40年間で私は14歳以下の子どもたちを少なくとも1,500人以上診てきた。治療の結果は依然として良好であり、子どもたちのほとんどは回復し、通常の生産的な生活を送ることができるようになった。これは、彼らが家族や地域社会とうまくやっていけるようになって、最初に私のところへ受診した際の病気から解放され、社会で生産的な役割を果たすことができるようになったということを意味している。


この治療は、これらの方法で訓練を受けた医師であれば誰でも行うことができる。特別な技術は必要ないし、ほとんどの患者さんには精神科治療は不要である。実際、もし精神科医からアメリカ精神医学会に愛されている50の無用な診断用語のひとつでレッテルを貼られて、古い治療法である覚せい剤リタリンで変わらず治療されることになるのが必然という古めかしいアプローチを使おうとしているならば、子どもたちは精神科医に会わない方がいいと考える。しかし、親はこの栄養学的アプローチを喜んで実行しようとする医師を見つけるのに苦労するだろう。何十年にもわたる偏見や先入観、何十年も続けてきた誰かへの非難、何十年も親や社会のせいにしてきた経験を克服するのはとても難しいことだ。


このようなお子さんを持つ親御さんは、できるだけ多くの本を読み、かかりつけ医に相談してみてほしい。担当医が分子栄養医学的治療に興味がない場合は、誰かひとり見つけるまでドクターショッピングする必要がある。一度医師の関心を喚起することができれば、非常に良い結果が得られるので、熱心な治療者になってくれるまで時間はかからない。栄養素を用いた治療は一夜にして結果が出るものではないので、多くの場合親も医師も非常に忍耐強くなければならないが、最終的にはどこにも導いてくれない薬物療法の迅速な反応と比較すると、もっとずっとエキサイティングな改善が時間を掛けて着実に得られる。薬物は必要に応じて控えめに使用し、食事や栄養補助食品に十分な反応を示すようになったらすぐ使用中止しなければならない。子どもたちの健康は、医師や製薬会社の金銭的利益よりも優先されなければならないのだ。


ひとりごと

とうとう新たな症例9ケースと結語まで読み切ることができました!!

(この続きの章は各栄養素を多く含む食品のリストが延々続くので、ひとり読書会で読むのは割愛します。)

シンプルに表現するなら「ADHDの診断をつけてメチルフェニデートを出すだけの精神科医なら会う必要はない」と言い切ってある結語は、これだけの臨床経験に裏付けられた確信なのだなと心を打たれます。

栄養による治療を受けたいという希望を持って受診されるお子さんや親御さんの期待に答えられる医師でありたいと私自身も強く思っています。


個人的興味で続けてきたひとり読書会に長々とお付き合いくださったみなさま、本当にありがとうございました!!


(完)