ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

配布資料を配らない理由。

去年というか先月というか

じつは先月のこと、とっても久しぶりに対面の場で講演する機会をいただきました。
支援者さんに向けて、発達障害特性を持つ親子への関わり方をテーマとした研修。

行政職ではなくなったし(業務としてお受けすると謝金が発生しないので気楽に呼びやすかったはず💦)、コロナの影響もあるのに、それでもお声がけいただけるのはありがたい話でした。

講演の内容は…

発達障害特性を持つ子どもだけでなく、その親御さんとどう関わるか」というテーマをいただいたので、「そもそも発達障害って遺伝性なの?」という切り口で話をさせてもらうことにしました。

「子どもが発達障害だから、親も発達障害」って枠組みは外してほしかったし、「遺伝する=諦めるべき運命」みたいにも思ってほしくなかったし、もしも親御さんに発達障害特性があったとしても、発達障害特性のあるお子さんとしっかり関われる支援者さんなら発達障害特性のある大人にも上手に関われていらっしゃるだろうと思ったから。

そんなわけで、栄養や運動や愛着、そして先輩や同僚にはちょっと聴かせられないようなお話もたっぷりさせていただきました(笑)。

栄養・運動・愛着などの話の流れの中には医師による診断や処方の重要性は当然ながらほぼ登場しないわけで、全体的に「医療にできることには限界がある、でも医療じゃなくても/ないからこそできることがある」という話。

みなさんの反応はありがたい✨ のですが。

この講演会を企画してくださった方には「攻めますねー!」と驚いていただけたし、聴きに来てくださった方にもとても興味を持って聴いていただけて何よりだったのですが、

「講演内容の配布資料をください」というリクエストは申し訳ないけれどお断りさせていただきました。

私の話全体を聴かないで資料だけ目にする人がいたら、どんなふうに受け取られるか想像もつかないから。

私が医療に限界があると自信を持って言えてしまうのは、自分自身が医療の限界を味わった経験があるから。
どんなにすばらしい医療でも、それは少なくとも「現時点の医療の最高」でしかないし、決して何でも解決してくれる万能なものではない。

このブログには私の個人的体験もいろいろ書いてきましたし別に隠すような話でもないのですが、その部分を配布資料に含めてしまうと資料の前置き部分が異様に長くなってしまって何の資料かわからなくなる…。
それならいっそ配布資料自体を外に出さないほうがいいな、という判断です。

聴きに来てくださった方に、記憶に残った部分だけ心に留めておいていただけたら十分です♥

久しぶりの貴重な機会をいただき、ありがとうございました!