ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

処方するなら、飲み心地を知っておきたい!

処方するのは向精神薬ではなく……

今いちばんよく処方している薬は何ですか? と問われたら、それはたぶんフェルムカプセル。
鉄剤です。

そういえば私自身もフェルムを飲んでいた時期がありました。

今の職場に移ってから、フェルムのほうが向精神薬よりよっぽど処方頻繁が高いです(笑)。
どんな薬かと聞かれたら、調剤薬局さんからいただいた見本用カプセルをカパッと開けて中身まで見ていただいたりしています。

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思春期女子に限らず、血液検査でフェリチンが著しく低下している小学校低学年のお子さんたちにもよくお会いするので、この頃はインクレミンシロップもちょくちょく処方するようになりました。
こちらも鉄剤。量の調節が効くので小さいお子さんにも比較的使いやすいのです。

それから、食欲不振で体重が激減しているお子さんにESポリタミン(アミノ酸製剤)を処方してみたら短期間でとても元気になってくれたので、それ以来ESポリタミンの処方にもさらに積極的になりました。

もちろん、たんぱく質をしっかり摂ることが大前提ですが。

「それって、飲みやすいですか?」

鉄剤やアミノ酸製剤を処方するとき、なぜそれが有効と思えるのかをまずご説明しています。
そこはすんなり理解していただけるのですが、その後よく聞かれるのがこの質問。

「飲みやすい味ですか? この子にも飲めるでしょうか?」

お母さんのご心配はごもっとも。
服用すれば今の状態にとってプラスになるのはわかる、でも味覚が敏感なわが子でも飲めるものだろうか、と。
おとななら不味くても必要と思えばがんばって飲めるものも、お子さんの場合は不味さを乗り越えるだけのモチベーションが持ちにくいですし、さらに感覚過敏のお子さんもいらっしゃるわけで。

インクレミンシロップもESポリタミンも自分では飲んだことがなかったので、味や飲み心地についてはこれまで処方したお子さんからお聞きした感想をお伝えしてきました。
でもやっぱり自分で飲んでみたほうがいいなと思い、勇気を出して最寄りの調剤薬局さんに事情を説明しに行ってみました。

思いが伝わって嬉しい! ありがたい!!

すぐに薬剤師さんが出てきてくださり、インクレミンシロップとESポリタミンを診察室用サンプル&味見用に分けてくださいました。
ありがとうございます!!

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薬剤師さんは既にインクレミンシロップは味見したことがおありだったそう。
でも「ESポリタミンは飲んだことがないんです」とその場で1パック開封してくださり、半分取り出して率先して試食(?)してくださる薬剤師さん。
暴走する私の好奇心にノリノリで応じてくださってめちゃくちゃ嬉しい!

「……すごく濃縮したイオン飲料の素の粉みたいな、でも甘くないし美味しくはないですね」という感想をいただきました。

私もクリニックスタッフと一緒に後で試食しましたが、全員の感想が「美味しくない」で一致しました。
どうしても飲みづらかったら、市販の空カプセルに詰めて飲んでいただくのがよさそうです。
空カプセルはいろいろなサイズがあるので、お子さんの飲めそうなサイズを意識して選んでみてください。

HFカプセル サイズ0号 100P

HFカプセル サイズ0号 100P

  • メディア: ヘルスケア&ケア用品

ちなみに、インクレミンシロップのほうはチェリー風味でとっても甘くて、後味はかなり鉄感が強かったです。
ESポリタミンよりはずっと飲みやすく感じられました。

どちらのお薬も、これからもしっかり臨床に役立てていきたいと思います。