ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

書ききれなかった、今の私の不登校観。

不登校のお子さんとお会いするとき、そのお子さんに関して「学校へ行く方向と行かない方向の、どちらで応援していいかわからない」というスタンスでお会いするのは確かなのですが、

一般論として、学校へ行くのと行かないのとどちらを支持しているかと聞かれれば、学校へ行くほうです。

そりゃそうだよね、学校楽しいじゃん、と言える人はもちろんそれでOK。
もしそうじゃなくても、行けるもんなら行った方がいいんじゃないかなと思っています。
そのほうが、後で選択肢が狭まって余計な悩みを抱えなくて済むから。

アルバイトを探すにも、高校在学中か高卒でないと雇ってもらえるところはなかなかありません。
大学や専門学校の推薦入試受けようとしたら「高校卒業予定」の人は出願できても「高卒認定試験合格者」はダメだったりするケースもあります。

極端な話、公立小学校や中学校は、最後まで在籍すれば卒業させてもらえます。そういう意味では、通えていない学校にそのまま籍を置くのもアリ。
今の学校には通えないけど他の学校なら通えそうということであれば、転校の可能性を考えてみるのもアリ。
公立高校・私立高校の全日制に進むには、ある程度の内申点や出席日数が必要です。それも中3の一時期だけがんばればどうにかなるわけではなくて、中学校生活の積み重ねが評価されます。
だから、中学で長い期間苦しい時期を過ごした人が最後だけ無理しても報われないこともあります。

それでも、小中と比べて高校は選択の幅は広がります。少し遠くの高校へも通えるし、全日制だけじゃなく通信制・単位制や夜間、サポート校もある。
中学には安定して通うことのできなかった人が、自分のペースで学べる高校環境に身を移して見違えるように元気を取り戻すことも少なくありません。そのあと大学や専門学校に進む人も、元気に社会人になって活躍している人もたくさん知っています。
来年度から始まる私立高校実質無償化が多くの子どもたちにとって役立つ施策であればいいなと思います。

こうやって考えてみると、私が通えたほうがいいと思っていたのは「何らかの形で、その子に合った高校を卒業してほしい」という意味だったんだな、と自分の中でもはっきりしてきました。

いや、もちろん小学生だって中学校だって、通えないより通えた方がいいとは思うんです。
でも、小中学生のうちに「とにかく学校に来い/行け」と言われて、大人との攻防に疲弊したり、それでも行けない自分を嫌いになったり、学校という存在に拒否感を抱いたりしてしまう子どもたちがあまりにも多くて。

子ども本人にはどうすることもできない理由で登校できないケースだってたくさんある。
それなのに、学校へ行くことだけが正解だと周りの大人たちに言われているように感じたとしたら、子どもたちは追い詰められるばかり。
それよりも「高校になったら選択肢が増えて、いろんな学びかたが選べるんだよ」とか「小中学校は、もしも通えなくても卒業させてくれるよ」とか「どんなに自分には勉強が合わないなと思っても、高校卒業はしといたほうがいいと思うよ」とか、現実的な今後の見通しを知ることができたほうが子どもたちのエネルギーは湧きやすいんじゃないのかな、と思し、そんなことを言う大人が身近にいなくて苦しんでいる子どもがいるなら、教えてあげる役割を果たしたいと思うのです。
周りの大人には嫌われるかもしれないけど(笑)。

さらにそこへ昨日の法律や通達の情報があれば、中学校に通わなくても自宅や民間施設で学習を積めば出席日数でも成績評価でも不利益を被らず、選べる高校のレパートリーも減らさずに済むかもよ、とも伝えられる。

こうして温存できた、溜まりやすくなったエネルギーを使って、子どもたちには少しでも「(学校に行かなくても)今自分のためにできること」にエネルギーを注げるようになってほしいのです。

登校について感じたストレス、学校へ行けない自分への落ち込みや罪悪感、周りの大人からの責められ感や急かされ感の三重苦でダメージを受けるより、そのほうがずっと苦しくないし効率がいいと思うから。

…そんなことをつらつらと考えながら、今日も講演スライドを作っていましたが、全然終わらない。

さて、続きを作らねば!