ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

結局,こどもの実行機能を高めるために大事なことは? (3)

こどもの実行機能を高める方法のまとめ,いよいよ最終回! 有酸素運動・格闘技・ヨガ・マインドフルネスは学校の放課後などにも実施できる。これらを公立校で取り入れれば経済状況によらず誰でも容易に利用でき,こどもを早期からいい軌道に乗せられ,幅広い…

結局,こどもの実行機能を高めるために大事なことは? (2)

こどもの実行機能を高める方法のまとめ,前回からの続きです。 nao-chun.hatenablog.jp (f) 実行機能の転移効果(直接鍛えたもの以外の実行機能も高まること)はありそう,でもその範囲は狭い。ワーキングメモリトレーニングはワーキングメモリを改善しても…

結局,こどもの実行機能を高めるために大事なことは? (1)

この記事からずっとこどもの実行機能の育ちを助けるのに役立つ方法をいろいろみてきましたが, nao-chun.hatenablog.jp 共通して言えることをまとめていきたいと思います。 (a) もともと実行機能低い(ワーキングメモリが低い,ADHD,男児,家庭の経済状況が…

実行機能を伸ばすための,補足的授業カリキュラムって?

モンテッソリーのように通常の授業として行われるのではなく,授業にプラスされるかたちで実施されるプログラムもあります。 (6) PATHSとCSRP PATHS(Promoting Alternative THinking Strategies)はこどもに自己コントロール力や感情のマネジメント,対人関…

脳のはたらきと「食育」,…そして嬉しいご報告です!

ここ数年で「食育」ということばをとてもよく耳にするようになりました。 このブログでこれまでも触れさせていただいてきた川島隆太先生も,最新刊「ホットケーキで『脳力』が上がる」のなかで朝食を食べることの大切さや,主食(ブドウ糖)を脳がうまく使う…

実行機能を育てる,幼稚園・学校向けカリキュラムとは?

海外では,実行機能を高めるために幼稚園や学校で行われるカリキュラムもあるようです。 (5) ツールオブマインドとモンテッソーリ ツールオブマインドは,ロシアの発達心理学者ヴィゴツキーの理論に基づいて発展されたもので,幼稚園など就学前のこどもたち…

格闘技の練習でも実行機能は高められる!?

実行機能をアップさせる方法,4つめはなんと格闘技登場です! (4) 格闘技とマインドフルネス 伝統的なテコンドーを習ったこどもと通常の体育の授業を受けたこどもを比較すると,テコンドーのグループのほうが測定した実行機能の全項目で優れていたそうです。…

コンピュータゲームだけじゃない! 実行機能を高めるアプローチ

実行機能を高める方法は,先日記事にしたコンピュータゲーム以外にもいろいろ研究されています。 nao-chun.hatenablog.jp (2) コンピュータゲームとその他のゲームの組み合わせ 7-9歳のこどもを2グループに分け,コンピュータを使うゲームと使わないゲームの…

実行機能をアップさせる,6つのアプローチとは?

とても大事な実行機能,どうすれば高めることができるのか… nao-chun.hatenablog.jp この論文によれば,研究の結果6つのアプローチが科学的に有効だとされているようです。 まずはそのうちのひとつをご紹介します。 (1) コンピュータを使ったトレーニング ゲ…

実行機能の基本3要素,「抑制」の持つ恐ろしさ。

実行機能のコアとなる3要素のひとつ,抑制についてもう少ししつこく続けます。 nao-chun.hatenablog.jp 抑制は3タイプに分けられるというところまで前回書きましたが,それぞれ以下のようなことを指します。 (a) 自分の行動のコントロール 習慣になってしま…

実行機能の基本となる3つの要素ってどんなもの?

先日ご紹介した論文 nao-chun.hatenablog.jp に入る前に,まず実行機能のコアとなる3つの要素についてこちらの論文に書かれた説明を紹介します。 1つめの認知的柔軟性とは,たとえば他者目線から物事を見てみたり,異なる角度から問題に取り組むため創意工夫…

学校生活を送るうえでIQよりも大事なもの,もっと知りたい!

ワーキングメモリについて相変わらず関心を持っているのですが, nao-chun.hatenablog.jp nao-chun.hatenablog.jp ふとしたきっかけがあって実行機能というものに関する論文を読んでみる機会がありました。 脳科学研究ではとってもよく登場する用語「実行機…

息子の元気を奪ってしまった,私のことば。

先日,学校で息子に災難が降りかかりまくった日がありました。 それは午後から雨だというので新しい傘をウキウキで持って行って,予報どおり大雨の帰りに傘を差そうとしたら傘立てになかったとか(担任が家まで送ってくださったらしい…感謝!), お友達同士…

ブレインジムエクササイズと神田橋條治先生の養生法の意外な共通点とは?

先日触れた「ブレインジムと私」では,著者のポール・デニッソンさんがどのようにブレインジムを発展させたかが詳しく書かれています。 nao-chun.hatenablog.jp ブレインジムは,楽しく身体を動かしながら本来そのひとが持っている学習能力や情報処理能力を…

「ブレインジムと私」と私

今から4-5年ほど前,書店をぶらぶらしているときに偶然1冊の本と出会いました。 「ブレインジムと私」,ポール・デニッソンさんの書かれた本です。 ちょうど当時「脳を鍛えるには運動しかない」を読んで,身体を動かすことと脳のはたらきの関係に興味津々だ…