ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

音楽のトレーニングは認知機能に影響を与えるか? (1) 横断的研究

この総説では,20年来積み重ねられた音楽と脳に関する研究が紹介されています。 ちょっとマニアックですが,おつきあいくださいね。

音楽のトレーニングを受けた子を受けない子と比較すると,音程やリズムを聴き分けたりメロディーラインを聴き取ったり指示どおりに指を連続して動かしたりするなど,聴覚野や感覚運動野と呼ばれる部位が関連する能力が高かった,と。 …それは想像しやすい話ですね。

さらに音楽とことばの脳内メカニズムが似ていることから,音楽トレーニングで言語能力も伸びるのではないかという視点の研究も行われていて,音程が聴き分けられるこどもは文章を読む能力に優れていたとか,数年間音楽トレーニングを受けた子はことばを想起する能力が高かったとか,聴く能力も指示どおり指を動かす能力や語彙力も高かった,などが報告されています。

そのほかにも,音楽トレーニングによって数学的能力や空間認知能も向上したという研究報告もあるようですが,残念ながら今のところその関連性は明らかにはされていないようです。

聴覚野や感覚運動野など音楽で活性化される脳領域以外で脳のはたらきが高まるかどうかに関して,こどもの頃に音楽を練習した経験の有無が大学での学業成績に影響していたとする研究もあります。実行機能が全体的に高まったというより,脳の多感覚統合領域への刺激がほかの脳領域にも影響したのではと考えられています。

音楽が脳に与える影響,次回に続きます。