ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(2) 感覚知覚,思考,気分,行動の機能不全:包括的診断

「Healing Children’s Attention & Behavior Disorders: Complementary Nutritional & Psychological Treatments」。

今日で、診断(2)の章はおしまいです。

毎度毎度、いろいろ考えさせられます。

診断(2) 感覚知覚,思考,気分,行動の機能不全:包括的診断

・典型的な臨床閾値下ペラグラの子について,感覚知覚,思考,気分,行動の4つの領域すべてを評価しないと診断を誤ることになる。治療者のオリエンテーションによってディスレクシアとして,知的障害として,うつ病・不安障害として,あるいは多動症としてそれぞれ異なった治療アプローチを取られる恐れがある。ペラグラに精通していなければ,臨床閾値下ペラグラとしてB3大量療法を行う人はいないだろう。

・4領域をアメリカ精神医学会のDSMの体系と組み合わせると,以下のようになる

≪感覚知覚の変化≫ ・知覚障害 ・ディスレクシア ・読字障害 ・微小脳障害 ・幻覚症 ・偽幻覚症

≪思考の変化≫ ・精神遅滞 ・知的障害 ・学業遅滞児 ・学業不振児 ・注意欠如障害 ・発達性算数障害 ・発達性書字表出障害 ・発達性読字障害 ・発達性発音障害 ・発達性受容学習障害

≪気分の変化≫ ・うつ病双極性障害 ・情動障害

≪行動の変化≫ ・自閉症多動症 ・行為障害 ・反抗挑戦性障害

・このように広範囲な診断が並ぶことになるのは,医師たちが4つのうち自分の関心領域についてのみ診断するからである。病気はペラグラただひとつなのに,記述する方法には限りがない。4領域すべてについて検査し,生化学的・栄養学的な要因を突き止めることがより単純化して正確な診断を下すための唯一の方法である。


【ひとりごと】 医師が自分の関心のある側面のみを評価するから診断も治療法もばらつき,根本的解決には至らない…耳の痛い話! 多面的な見方ができるようになりたい。