ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

音楽のトレーニングは認知機能に影響を与えるか? (2) 縦断的研究

音楽トレーニングの効果の検証は横断的研究だけでなく,対象者を長い期間追いかける縦断的研究も行われているようです。

1年間楽器を練習した子は途中でやめた子と比較すると言語記憶力が優れていて,それは音の高低や単語の節まわしの記憶が増強されたためではないか,と考察されている研究があります。

また,36週間の音楽プログラムを受けた子は演劇プログラムを受けた子と比べてIQが高くなっていたという報告もあります。音楽の中でも鍵盤楽器より歌のトレーニングをうけた子のほうがIQ上昇が大きかったようです。

フランスの研究グループが音楽レッスンを受けた子と絵画レッスンを受けた子を比較した研究では,8週間のレッスンの前後では音程の変化に対する脳波(ERP)には違いがあったものの言葉の課題の成績には差はみられなかったが,レッスンを6か月間継続すると音楽レッスンを受けたグループだけ読みの能力と話し言葉の音の高低を聴き分ける力が上昇したという結果が報告されています。

ほかにも,1年間授業で週1回の楽器練習を続けた子はジャグリングを練習した子と比べて言語学習課題と短期言語記憶の成績が上がっていたという研究結果もあります。ただし,通常の音楽の授業ではこうした変化はみられなかったそうです。

こうして見てみると,ピアノや特定の楽器を習うことが“脳にいい”というより,音楽を学ぶことが言語情報の処理を高める可能性がある,という感じなのかもしれませんね。