ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

実行機能を育てる,幼稚園・学校向けカリキュラムとは?

海外では,実行機能を高めるために幼稚園や学校で行われるカリキュラムもあるようです。

(5) ツールオブマインドとモンテッソーリ ツールオブマインドは,ロシアの発達心理学ヴィゴツキーの理論に基づいて発展されたもので,幼稚園など就学前のこどもたち用に作られたカリキュラムです。おままごと遊びがとても重視されていて,自分が演じる役割から外れて自我を出さないことや友達が何の役割を演じるか覚えておくこと,そして友達の即興の演技に柔軟に合わせていくことなどが実行機能のコアとなる3項目すべてを鍛えてくれます。 ツールオブマインドでは,たとえば話を聞くべきときに耳のイラストを提示されるといった手がかりも活用され,実行機能の発達に連れて徐々に減らされたりするようです。

モンテッソーリでは,自己訓練・自立・整頓・穏やかさなどを育てること(=ノーマライゼーション)が目的とされています。活動の道具をクラスに1つだけ用意することでほかの子が終わるのを待つことを学んだり,大人数の活動より3学年混合の少人数グループでこどもからこどもへ指導する場面が設定されたり,線の上を集中して歩く「歩く瞑想」を行ったりします。 公立モンテッソーリ学校にくじで入学できた5-12歳のこどもは,くじにはずれた子と比べて5歳の時点ですでに読み・計算や公平性などに優れ,12歳時には独創的な小論文が書けたり学校で高い共同体意識を示すことができたりするそうです。