ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

結局,こどもの実行機能を高めるために大事なことは? (2)

こどもの実行機能を高める方法のまとめ,前回からの続きです。

nao-chun.hatenablog.jp

(f) 実行機能の転移効果(直接鍛えたもの以外の実行機能も高まること)はありそう,でもその範囲は狭い。ワーキングメモリトレーニングはワーキングメモリを改善しても,抑制や処理速度は改善しない。視空間に関連した課題では言語に関する転移はほとんどみられない。ただ,格闘技や学校カリキュラムは課題そのものがより広範な実行機能をターゲットにしているので,転移というわけではないが幅広い実行機能の向上効果がみられる。

(g) トレーニングそのものだけを実施するより,同時にパーソナリティの発達を促したり(伝統的格闘技)やマインドフルネスを取り入れたりするほうが実行機能改善の効果が高い。

(h) 研究途上であるが,音楽トレーニングやスポーツなどのさまざまな活動も実行機能を高めうる。こども自身がその活動に喜んで時間を捧げることが重要。一日を通して実行機能を傾けるようなカリキュラムや反復練習が効果が高く,どんなに優れたトレーニングでも滅多に実施しなければ効果は低い。

(i) コンピュータによるトレーニングは自宅でできるというメリットがあるし,ほかのトレーニングと組み合わせるとより広範な効果がありそう。でも,ゲームの最高レベルに達して面白さが失われると,効果のある時間が短くなってしまう。

…またまた,次に続きます。